偉大なカシージャスを実力で上回るデ・ヘアが正守護神就任か。
もうひとつ注目すべきは、ストライカーから最も遠く離れた位置、ゴールマウスにある。
すなわち正GK争いである。イケル・カシージャス(ポルト)か、ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・U)か――。
ここ1、2年の両者のパフォーマンスを見れば、すでにデ・ヘアはカシージャスを追い越している。しかし、経験とレギュラーCB陣との連係、そしてリーダーとしての存在感では当然、カシージャスに分がある。
今回のテストマッチでは、実力で明らかに上回るデ・ヘアが好パフォーマンスを披露できるか否かで、デル・ボスケが過去と決別できるかが決まるだろう。ここで守護神の世代交代が完了する可能性もある。
一方、今回の招集において論争の的になったのが、CBのオプションについてだ。
セルヒオ・ラモス(R・マドリー)とジェラール・ピケ(バルセロナ)のレギュラー2人と、その他の選手との実力差は大きいが、今回、クラブで出番のないマルク・バルトラ(バルセロナ)とナチョ(R・マドリー)が3番手候補としてメンバー入りした。
ラウール・アルビオル(ナポリ)を推す声もあるが、いずれにせよ有力候補が少ないのが現状だ。もし、ラモスとピケが怪我や出場停止で離脱した場合、その穴は必ず相手に狙われることだろう。
レギュラー2人が偉大過ぎて、代表だけでなく、マドリー、バルサの両クラブでもCBが育っていない。もっとも、デル・ボスケは「彼ら(バルトラとナチョ)は他のクラブでならスタメンの選手。普段、試合に出ていないから、フレッシュな状態で大会に臨めるだろう」と楽観的だが……。
他のポジションに目を向けると、SBで注目したいのがマリオ・ガスパール(ビジャレアル)だ。守備力、特に1対1の対応においては候補のなかでは一番である。
ちなみに、著者が最も使ってほしいのはエクトル・ベジェリン(アーセナル)だが、デル・ボスケは経験を重視し、彼をU-21代表に回している。守備面でリスクがあるとはいえ、ベジェリンは、この4年間でスペインに最も欠けているランニングの部分で、最も躍動感を与えられる選手である。
中盤では、現在の代表チームで最も不可欠な選手であるセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)の代役候補として選ばれた、ミケル・サン・ホセ(ビルバオ)のパフォーマンスをチェックしておきたい。
最後にフォーメーションを確認しておくと、冒頭でも紹介したように、基本となるのは4-3-3。CFの下に2列目を3人並べる4-2-3-1の併用も考えられる。
前述の通りCBの人材が足りないこともあることから、3バックは排除していい――ブスケッツの縦のポジション移動でもカバーできるだろう。また、CFタイプを2枚起用しての2トップも考えにくい。
デル・ボスケはこの2試合で、メンバーを頻繁に変えながらチェックすることだろう。最大の焦点であるCFとGKを中心に、最後の争いが繰り広げられる。
文:豊福 晋
【著者プロフィール】
とよふく・しん/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
すなわち正GK争いである。イケル・カシージャス(ポルト)か、ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・U)か――。
ここ1、2年の両者のパフォーマンスを見れば、すでにデ・ヘアはカシージャスを追い越している。しかし、経験とレギュラーCB陣との連係、そしてリーダーとしての存在感では当然、カシージャスに分がある。
今回のテストマッチでは、実力で明らかに上回るデ・ヘアが好パフォーマンスを披露できるか否かで、デル・ボスケが過去と決別できるかが決まるだろう。ここで守護神の世代交代が完了する可能性もある。
一方、今回の招集において論争の的になったのが、CBのオプションについてだ。
セルヒオ・ラモス(R・マドリー)とジェラール・ピケ(バルセロナ)のレギュラー2人と、その他の選手との実力差は大きいが、今回、クラブで出番のないマルク・バルトラ(バルセロナ)とナチョ(R・マドリー)が3番手候補としてメンバー入りした。
ラウール・アルビオル(ナポリ)を推す声もあるが、いずれにせよ有力候補が少ないのが現状だ。もし、ラモスとピケが怪我や出場停止で離脱した場合、その穴は必ず相手に狙われることだろう。
レギュラー2人が偉大過ぎて、代表だけでなく、マドリー、バルサの両クラブでもCBが育っていない。もっとも、デル・ボスケは「彼ら(バルトラとナチョ)は他のクラブでならスタメンの選手。普段、試合に出ていないから、フレッシュな状態で大会に臨めるだろう」と楽観的だが……。
他のポジションに目を向けると、SBで注目したいのがマリオ・ガスパール(ビジャレアル)だ。守備力、特に1対1の対応においては候補のなかでは一番である。
ちなみに、著者が最も使ってほしいのはエクトル・ベジェリン(アーセナル)だが、デル・ボスケは経験を重視し、彼をU-21代表に回している。守備面でリスクがあるとはいえ、ベジェリンは、この4年間でスペインに最も欠けているランニングの部分で、最も躍動感を与えられる選手である。
中盤では、現在の代表チームで最も不可欠な選手であるセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)の代役候補として選ばれた、ミケル・サン・ホセ(ビルバオ)のパフォーマンスをチェックしておきたい。
最後にフォーメーションを確認しておくと、冒頭でも紹介したように、基本となるのは4-3-3。CFの下に2列目を3人並べる4-2-3-1の併用も考えられる。
前述の通りCBの人材が足りないこともあることから、3バックは排除していい――ブスケッツの縦のポジション移動でもカバーできるだろう。また、CFタイプを2枚起用しての2トップも考えにくい。
デル・ボスケはこの2試合で、メンバーを頻繁に変えながらチェックすることだろう。最大の焦点であるCFとGKを中心に、最後の争いが繰り広げられる。
文:豊福 晋
【著者プロフィール】
とよふく・しん/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。