選手交代から日本は最大の創造性と攻守への活力を失った
皮肉にもイラン優勢の展開が加速したのは、67分、森保監督が2枚のカードを切ってからだった。そこまで圧倒的な走力を活かし、プレスバックからボール奪取を繰り返してきた前田大然と、同じく奪ってから攻撃への切り替えに最も積極的に取り組んでいた久保建英を下げ、三笘薫と南野拓実を送り出した。確かに使ったカードに間違いはなかった。しかし、せめて久保は所属チームでプレーする右サイドに回して残すべきで、この瞬間に日本は最大の創造性と攻守への活力を失った。
一方イランは、後半に入ると徐々に前からプレッシャーをかけ始め、中国人主審の傾向を見極めながら球際はアフターチャージも含めて厳しく対処し、日本側DFのバックパスからGKに蹴らせる流れを引き出していく。こうして繋げず間延びした日本は、大半の選手たちが長所の見せ場を失い、逆に短所をさらされ敗戦への道を辿った。
森保監督は、ピッチ上での選手たちの自主的な修正力を引き出そうと努めてきた。しかし肝心な自身の試合中の修正力は改善されているだろうか。
もちろん伊東純也離脱問題など、未曾有のアクシデントに見舞われた大会ではあったが、重要な分岐点を示唆したようにも見えた。
取材・文●加部究(スポーツライター)
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