週給24万円の18歳がスタートさせた夢物語。

プレミアリーグ27節のアーセナル戦は、2ゴール・1アシストの大活躍で3-2の勝利に貢献。巧みな位置取りでマーカーを外し、ヘッドで流し込んだ2点目のシーンだ。 (C)Getty Images
「生来のフィニッシャー」と思わせるのが、シュートの豪快さ。相手DFのクリアミスを予期していたかのような先制ゴールのシーンでは、相手GKペトル・チェフの手を弾く強烈な一発でネットを揺らした。
その3分後の追加点は、ジェシー・リンガードが送り込んだクロスに目は釘付けながら、ゴールの位置が頭に入っているからこそ狙えたヘディングだった。
「年齢に似合わぬ落ち着き」と各紙が評した3点目のアシストにしても、ペナルティーエリア内を「居場所」とする者ならではの感覚と言うべきだろうか。2人のDFからプレッシャーを受けながらも冷静さを失わず、最適の判断でラストパスを供給した。
「僕自身がびっくりさ!!」とラッシュフォード当人は信じられない様子だが、それも仕方がない。週給1500ポンド(約24万円)のプロ契約をかわした18歳の若者にしてみれば、怪我人が続出している事情があるとはいえ、トップチーム入りの機会が巡ってきただけでも夢のような話。そのうえデビュー2試合でいきなり4得点と、プロキャリアのまさに夢物語をスタートさせたのだから。
早くも浮上しているのは、新契約の話だ。「たった2試合で?」と懐疑的な声もなくはない。ただ、クラブとファンに言わせれば「資格あり」だろう。
前半早々、アーセナルのCBコンビに真っ向勝負を挑んであわやPKというFKを奪ったように、ゴールに向かう彼の積極的な姿勢は、「遅攻」が今一つ機能していないユナイテッドには貴重。しかも9歳でユース入りした生え抜きの新鋭だ。
覇権レースから脱落寸前のチームと、今夏の退任説が強まる指揮官を救うには手遅れかもしれない。しかし、「結果重視」と「大型補強」がクラブイメージとして定着し、「攻撃サッカー」と「育成」の伝統が失われつつあるユナイテッドにとっては、ポジティブなニュース。クラブの未来に希望を抱かせる新星が、ついに現われた。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
その3分後の追加点は、ジェシー・リンガードが送り込んだクロスに目は釘付けながら、ゴールの位置が頭に入っているからこそ狙えたヘディングだった。
「年齢に似合わぬ落ち着き」と各紙が評した3点目のアシストにしても、ペナルティーエリア内を「居場所」とする者ならではの感覚と言うべきだろうか。2人のDFからプレッシャーを受けながらも冷静さを失わず、最適の判断でラストパスを供給した。
「僕自身がびっくりさ!!」とラッシュフォード当人は信じられない様子だが、それも仕方がない。週給1500ポンド(約24万円)のプロ契約をかわした18歳の若者にしてみれば、怪我人が続出している事情があるとはいえ、トップチーム入りの機会が巡ってきただけでも夢のような話。そのうえデビュー2試合でいきなり4得点と、プロキャリアのまさに夢物語をスタートさせたのだから。
早くも浮上しているのは、新契約の話だ。「たった2試合で?」と懐疑的な声もなくはない。ただ、クラブとファンに言わせれば「資格あり」だろう。
前半早々、アーセナルのCBコンビに真っ向勝負を挑んであわやPKというFKを奪ったように、ゴールに向かう彼の積極的な姿勢は、「遅攻」が今一つ機能していないユナイテッドには貴重。しかも9歳でユース入りした生え抜きの新鋭だ。
覇権レースから脱落寸前のチームと、今夏の退任説が強まる指揮官を救うには手遅れかもしれない。しかし、「結果重視」と「大型補強」がクラブイメージとして定着し、「攻撃サッカー」と「育成」の伝統が失われつつあるユナイテッドにとっては、ポジティブなニュース。クラブの未来に希望を抱かせる新星が、ついに現われた。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。