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U-17世代に関わって10年、“ゴリさん”が伝えたかったこと。種まきに徹して畑を耕す。その功績は計り知れない【森山ジャパン総括】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2023年11月25日

“心”や“気持ち”を植えつけてきた

スペイン戦で先発に抜擢された名和田が意地の一発。指揮官の想いに応えてみせた。写真:佐藤博之

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 ポーランドは大会直前に4名が不適切な行為で離脱したとはいえ、その攻撃力はアジアで味わえないレベル。それでも真っ向からやり合い、立ち上がりの不安定さを乗り越えて1-0で勝利した。開始8分で2失点を喫したアルゼンチン戦では、世界トップクラスの強度と出力を体感。1-3で敗れたものの、後半のパフォーマンスは称賛に値した。

「フィジカルお化けで、まったく身体能力が違う。時速35キロのスピードを出すような選手もいた」(森山監督)というセネガルは、言うなれば“未知”の相手で、アフリカ特有のバネとしなやかさは滅多にお目にかかれない代物。

 ミドルレンジから放たれるシュートもパンチ力があり、打たれるごとに圧力を感じさせられた。それでも耐え凌ぎ、2-0で勝利してノックアウトステージ進出を決めた。

 最後に戦ったスペインは、一つひとつのプレーに無駄がなく、戦術の練度も世界でトップクラス。個々のスキルも洗練されており、“サッカーを知っている”選手がズラリと揃っていた。そんな相手に心を折られ、それでも立ち向かい、食い下がった。

 スペイン、アルゼンチンには敗れたが、その経験は選手たちにとって強烈な記憶として残っている。

 そうした経験はW杯でしか味わえない。だが、強豪国と対戦すれば良いというわけでもない。学ぶ姿勢がなければ、その価値は薄れてしまうからだ。だからこそ、森山監督は“心”や“気持ち”を選手に植えつけてきた。
 
 今年の初めまで代表に関わっていなかったFW高岡怜颯(日章学園)が、グループステージの3試合で4得点と目覚ましい結果を残せたのも、指揮官の教えがあったからこそだ。

 サッカー選手として、どんな心構えが必要なのか。もっと言えば、人としてどうあるべきか。森山監督は、まだまだ未熟で幼い選手たちと膝を突き合わせ、日本の次世代を担う若者の未来を一緒に作り上げてきた。

 今大会でもそうした姿勢は随所に見られ、1対1で対話する場面が何度もあった。たとえば、初戦で途中交代したFW名和田我空(神村学園)を2、3戦目で起用しなかったが、その理由を明確に伝えた。

「3戦目に誰を使うか考えた時に、『お前ではなかった』という話はした。『その理由は自分で感じないといけない』という話もしてね。ラウンド16で使うと決めた時には、『お前で行くからなと。気持ちの準備をしておけ』と一言だけ言った」

 U-17アジア杯でMVPと得点王を獲得した主力選手を外す決断は簡単ではない。強度不足を露呈した初戦のパフォーマンスを見て判断したが、その後のフォローは手厚く行なった。そして、スペイン戦。名和田は先発起用に応え、一時は同点に追いつくゴールを奪った。
 
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