実際に浦和戦では、前線からの球際での激しい守備を求めた。また、ディフェンスラインを高めに敷き、相手の縦パスが入る瞬間に前に出てボールを奪い取り、素早く攻撃に転じるシーンが多く見られた。
増嶋が「去年はしっかり引いてゆっくり回すスタイルだったが、今年は前からプレッシャーに行って、ショートカウンターを狙うやり方をやってきた、そこは今日の試合は出せていた」と言えば、秋野は「前向きでボールを奪えれば良い形でショートカウンターが決まっていた」と続く。選手はメンデス監督の戦術に一定の手応えを感じている。
キャプテンの大谷も「去年よりボールに行くようになれていると思う」と語った。しかし、続けて「でも、ふたりで行く場面だけでなく、ひとりで対応する場面でも奪い切れるように、個々の力をもっと上げていかなきゃいけない。走力、カウンターの迫力、ボールを奪い切る力をもっと上げなければ、監督の理想は実現できない」と口にした。選手たちは課題もしっかりと把握しており、完成までに時間が必要なことも理解している。
それでも、メンデス監督は「チームとしては守備の部分がしっかりできた。トランジション、守備から攻撃のカウンターの部分もうまく機能したと思います。今日の選手たちの取り組みには私自身ポジティブに捉えています」と常に前向きだ。
新監督を迎えた2016年シーズンの開幕戦では敗れはしたものの、方向性は決して間違っていない。“メンデス流”を突き詰めた先に、Jリーグを席巻させるような気配を感じさせた。
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)