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【プレミア現地コラム】夏に憧れのジダンの下へ? 「正直者」のアザールが望む未来とは――

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2016年02月26日

マドリーに下った補強禁止処分の行方次第。

補強禁止処分が先送りされれば、マドリーが獲得に乗り出す可能性は低くない。ジダンが率いるスター軍団の仲間入りを、アザールも果たすのか!?  (C)Getty Images

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 移籍が現実のものとなれば、チェルシーのファンは大きな悲しみに暮れるだろう。マンチェスター・シティに5-1で大勝した先日のFAカップ5回戦では、1ゴール・2アシストの活躍を披露。復調をアピールするとともに、存在価値を改めて証明したばかりだった。そもそも2020年6月までの新契約にサインしてから、まだ1年しか経っていない。
 
 ただし昨年の契約更新は、クラブ側の都合もあった。選手の獲得費用は減価償却されるため、契約期間が延びれば帳簿上の年次費用が下がり、ファイナンシャルフェアプレー対策になるうえ、契約期間の長さは移籍金をつり上げる理由にもなる。
 
 実際、移籍の噂が浮上した昨夏の時点でチェルシー側は、もはやアザールを「非売品」として見ていないのが明らかで、漏れ伝わってきたのは「要求額8000万ポンド(約132億円)」という数字だった。
 
 FIFAから下った補強禁止処分に対するマドリーの上訴が認められなければ、商談は2017年夏に持ち越される可能性があるものの、その結果として残留が決まってもチェルシー側は素直に喜べないだろう。

 新シーズンのアザールは、好調なら「マドリー入りの資格あり」と強調され、不調なら「心、チェルシーにあらず」と騒がれる。そうした主力の存在は、新体制下で再起を図るチームにマイナスをもたらす可能性がある。
 
 マドリーの補強禁止処分が撤回、あるいは先送りされて今夏の強化が可能になるならば、再建に必要な巨額の移籍金をチェルシーにもたらす双方笑顔の別れは悪くない。
 
 ロンドンに渡って以降、夢や憧れを語るなかで「チェルシーのレジェンドを目指す」などと社交辞令は一切言わなかった「正直者」のアザール自身が、望む結末でもあるだろう。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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