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【ブンデス現地コラム】史上最年少となる28歳! ホッフェンハイムの青年監督ナーゲルスマンとは?

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年02月19日

U-19ブンデスリーガを制して知る人ぞ知る存在に。

初陣のブレーメン戦は1-1のドロー。クラマリッチ(右)が10分に挙げた先制点を守り切れず。(C)Getty Images

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 その後はホッフェンハイムU-19で監督を務め、13-14シーズンにはU-19ブンデスリーガを制覇。翌14-15シーズンは準優勝に終わったとはいえ、優れた手腕を発揮したナーゲルスマンは知る人ぞ知る存在となっていた。

 ナーゲルスマンに対する首脳陣の評価は高く、16-17シーズンからトップチームを率いることが内定していた。ところが、前述したとおりステフェンスが突如辞任したため、このタイミングでの就任となった。28歳の青年監督に絶大な信頼を寄せるのは、ホッフェンハイムのアレクサンダー・ローゼンSDだ。

「残留争いを強いられている状況にもかかわらず、ユリアン(ナーゲルスマン)は監督就任のオファーを引き受けてくれた。その責任感と意思の強さがあれば、目標を達成できるはずだ。チームに新たな“インパルス”をもたらしてくれるだろう」

 そんな首脳陣の期待とは裏腹に、ナーゲルスマンに懐疑の目を向ける者は少なくない。トップリーグでの監督歴がない20代の若者が、厳しい残留争いを勝ち抜けるのか。「そう簡単にいくはずがない」というのが一般的な見方だ。

 監督就任から初陣のブレーメン戦までの時間は、わずか2日間しかなかった。この短期間でチームをイジるのはリスクが大きすぎる。ところが、ナーゲルスマンは勇気ある決断を下す。システムを4-2-3-1から3-5-2に変え、さらにトップ昇格1年目の18歳フィリップ・オクスを初先発させたのだ。

 戦術も一変させた。「失点を避けることが第一」だったステフェンス体制下とは大きく異なり、攻撃的で、守備でもアグレッシブにボールを奪いにいく能動的なスタイルを志向。大幅な方針転換を決断した理由について、ナーゲルスマンはこう語る。

「守備は安定しているから問題ない。今必要なのは、攻撃の改善だ。もっと創造的なプレーを増やして、チャンスを作り出さないと。僕らは勝たなくちゃいけないのだからね」

 ブレーメン戦の10分に奪った先制点は、ナーゲルスマンが求めるハイプレスから生まれたものだ。MFナディーム・アミリが敵陣でボールを奪い、右サイドに流れたトビアス・シュトロブルがクロスを供給。これを新戦力のFWアンドレイ・クラマリッチがヘディングで合わせて、ネットを揺さぶった。

 しかし、13分に同点ゴールを奪われて、試合は結局1-1のドローで決着。残留を争うブレーメンが相手だっただけに、勝ちたかったのが本音だろう。

 とはいえ、浮上の気配が全く感じられなかったこれまでよりは希望が持てる。例えば、練習の雰囲気ひとつとっても、ステフェンスの頃とは違っている。以前は厳しさしか伝わってこなかったが、ナーゲルスマン就任後は緊張感を保ちながらもどこかリラックスした空気が感じられるのだ。

 ホッフェンハイムが上昇気流に乗るのは、これからだろう。そして、未来に大きな期待を抱かせるだけの輝きを、すでにナーゲルスマンは放っている。

文:中野吉之伴

【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
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