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【ブンデス現地コラム】6連敗を喫したハノーファー。チームの混乱ぶりを物語る酒井宏樹の言葉とは?

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年02月12日

もはやあれこれと悩んでいる時間はない。

前半35分に交代を命じられた山口。不慣れなポジションでのプレーを強いられ、試合後は「難しかった」と心情を吐露した。(C)Getty Images

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 しかし、いざ蓋を開けてみると、“シャーフ効果”は微塵も感じられなかった。ウインターブレイク明けの3試合は全敗。守備の安定感はまずまずながら、フロンツェック時代からの課題だった得点力不足は一向に改善の兆しが見られない。

 マインツ戦は4-3-1-2を採用。2トップは新戦力のアダム・サライとウーゴ・アウメイダがコンビを組んだ。しかし、決定機は90分を通じてたったの1回。70分、オーバーラップした右SB酒井宏樹のアーリークロスをサライがヘッドで繋ぎ、最後はアウメイダが滑り込みながらシュートを放ったが、わずかに枠を外れた。

 ベンチではシャーフ監督が何度も大きなジェスチャーで指示を送るも、状況は好転しない。頭を抱えるシーンも目立ったが、それはそうだろう。何度も戦い方を変えれば、当然選手は混乱する。そもそもスタメンすら固定できていない状況で、選手に多くを求めるのは酷な話だ。

「繋ごうとしているのか、前に収めようとしているのか、前半からはっきりしなかった。サイドチェンジも少なかったし。何度もフリーでパスを受けられる場面があったけど、(味方と)目が合わなかった」

 試合後の酒井の言葉は、チームの混乱ぶりを物語っている。

 この試合で右のインサイドハーフで先発しながら35分で交代を命じられた山口蛍は、ある意味で“犠牲者”だ。「難しかった」と本人が語ったとおり、不慣れなポジションで、しかも選手同士が同じ絵を描けてないチームで本来の力を出し切るのは容易ではない。

 ただ、シャーフはシャーフで山口をそのポジションで起用した意図があり、その期待に応えるのが真のプロフェッショナル。それは他の選手にも言えることだ。

 20節終了時点で最下位に沈み、残留圏内の15位フランクフルトとの勝点差は7。もはやあれこれと悩んでいる時間はなく、現実を見据えて100%の力で残りの試合を戦わなくてはならない。

「勇気を出して、前に出ていかないといけない。ファイトする姿勢が感じられないとファンは納得しないし、ブーイングされるのは当然だと思う。もっと攻めて、もっと戦わないと。すべてはそこからだと思います」

 酒井は自分たちを戒めるようにそう語った。その思いがチームに伝播すれば、残留のチャンスが見えてくるはずだ。


文:中野吉之伴

【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
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