獲得リスクの高い冬の市場に高額を投じる金銭的余裕は…。

有力クラブが比較的おとなしい冬を過ごすなか、注目を浴びたのが最下位に沈むレバンテ。イタリア代表FWロッシをはじめ5人の即戦力を獲得し、大幅な戦力アップを実現した。(C)Getty Images
もっとも積極的に市場を駆け回ったのは、最下位に沈むレバンテ。クラブ史上最高額となる320万ユーロ(約4億4800万円)をコロンビア出身の有望株マウリシオ・クエロに支払った事実からも、クラブの残留に向けた意気込みがうかがえる。話題を呼んだジュゼッペ・ロッシのレンタルでの獲得もその一貫だ。
セビージャとグラナダは移籍期限の直前に脚光を浴びた。十分にフィットしていなかったチーロ・インモービレをすでにトリノに貸し出していた前者は、フェデリコ・ファシオをトッテナムからレンタルで呼び戻し、後者は最終日にバルサ出身のイサアク・クエンカを迎え入れた。
獲得に際してもっとも高い値が付いたのは、クローディオ・ボービュ。750万ユーロ(約11億円)でセルタがリヨンから獲得した。売却額では、先述のジャクソンの4200万ユーロ(約59億円)が最高額を記録した。
全体的な傾向として、今シーズンはレンタルでの獲得が目立った。バルサからインテルに貸し出されていたマルティン・モントーヤ(ベティスへ)やロッシ、シケイラ、チェリシェフ、ファシオ、ヨシプ・ラドシェビッチ(リエカ→ナポリ→エイバル)など、即戦力として招かれた選手はいずれもレンタル。獲得リスクの比較的高い冬の市場に高額を投じる金銭的余裕は、中小クラブはもちろん、有力クラブにもないのだ。ちなみに今冬のマーケットでストーク・シティがジアネリ・インブラの獲得に支払ったのは、1830万ポンド(約2300万ユーロ=約32億円)。リーガ全体の今冬の補強総額を軽く上回る。
2強が動かなければ、移籍市場での存在感はプレミア勢の足元にも及ばない。リーガのそうした現実が浮き彫りになったマーケットだった。
文:豊福晋
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
セビージャとグラナダは移籍期限の直前に脚光を浴びた。十分にフィットしていなかったチーロ・インモービレをすでにトリノに貸し出していた前者は、フェデリコ・ファシオをトッテナムからレンタルで呼び戻し、後者は最終日にバルサ出身のイサアク・クエンカを迎え入れた。
獲得に際してもっとも高い値が付いたのは、クローディオ・ボービュ。750万ユーロ(約11億円)でセルタがリヨンから獲得した。売却額では、先述のジャクソンの4200万ユーロ(約59億円)が最高額を記録した。
全体的な傾向として、今シーズンはレンタルでの獲得が目立った。バルサからインテルに貸し出されていたマルティン・モントーヤ(ベティスへ)やロッシ、シケイラ、チェリシェフ、ファシオ、ヨシプ・ラドシェビッチ(リエカ→ナポリ→エイバル)など、即戦力として招かれた選手はいずれもレンタル。獲得リスクの比較的高い冬の市場に高額を投じる金銭的余裕は、中小クラブはもちろん、有力クラブにもないのだ。ちなみに今冬のマーケットでストーク・シティがジアネリ・インブラの獲得に支払ったのは、1830万ポンド(約2300万ユーロ=約32億円)。リーガ全体の今冬の補強総額を軽く上回る。
2強が動かなければ、移籍市場での存在感はプレミア勢の足元にも及ばない。リーガのそうした現実が浮き彫りになったマーケットだった。
文:豊福晋
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。