現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「本当の正念場はこれからだ」

カテゴリ:連載・コラム

ラインハルト・レーベルク

2016年02月04日

調子の上がらない「M&M」

いまだ前半戦のキレを取り戻せていない武藤。プレミア方面から強い引きがあった今冬の移籍話が影響を与えているのか――。(C)Getty Images

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 ウインターブレイク明けの2試合で、前半戦の躍進の立役者だったユヌス・マッリと武藤嘉紀のコンビは、さしたる活躍を果たせなかった。論理的な成り行きなのか、それとも単にコンディションの問題なのか。

 この冬、チャンスメーカーのマッリにはドルトムントから高額のオファーが届いていた。もし移籍していたら年俸は現在のおよそ3倍となり、マインツには1300~1400万ユーロ(約18億2000万~19億6000万円)の大金が転がり込んでいた。そのほかにもトッテナムが獲得に本腰を入れ、ドルトムントを凌ぐサラリーを用意していたという。

 それでもマッリはイングランド行きを拒否し、恩師トーマス・トゥヘルが率いるドルトムントへの移籍を望んだ。この時期の放出にストップをかけたのが、ゼネラルマネジャー(GM)のクリスティアン・ハイデル。話し合いの結果、とりあえずは今シーズン終了まで残留することが決まり、違約金は950万ユーロ(約13億3000万円)に設定された。

 武藤の場合はもっと早い、前半戦が終わってすぐのタイミングで、クラブ側は移籍禁止のスタンスを明確にした。この冬での獲得に2000~2500万ユーロ(約28億~35億円)を費やす用意があったイングランドのクラブは3つ。前半戦で7得点を挙げ、マインツ・サポーターのお気に入りのひとりとなった武藤に、イングランド行きの願いがあったかどうかは定かでない。オファーの額が額なだけに、マインツの首脳陣もさすがに放出について多少は考えただろうが、真剣に議論するマターではなかった。

 このクラブは堅実な育成型クラブであって、瞬間湯沸かし器ではない。昨夏の移籍市場での選手の売買で3500万ユーロ(約49億円)の利益を得ており、財政的には安定している。加えて、前半戦で稼いだ勝点26に、マルティン・シュミット監督もハイデルGMも満足していないと言われる。2010-11シーズン、同じく前半戦で勝点26を挙げたフランクフルトが、結果的に降格の憂き目に遭った。これはマインツにとってのひとつの警鐘で、安閑とはしていられないのだ。
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