チームを活性化するスーパーサブの存在とローテーション采配。
得点が奪えるようになった理由のひとつは、カタール・UAE遠征にはいなかった久保裕也、南野拓実、浅野拓磨、豊川雄太といったアタッカーの合流だ。
そのなかで今大会において実際にゴールを奪ったのは、久保と豊川のふたりだが、久保がいなければ、鈴木はエースの重圧をひとりで背負うことになっていたし、タイとの2戦目で鈴木がゴールを奪えたのは、その直前まで浅野と豊川が決定的なシュートを放ち、マークが分散していたおかげでもあっただろう(とはいえ、鈴木のゴールは素晴らしかったが)。
また、タイ戦でゴールを決めた矢島慎也が「拓実は本当に巧い。見習うところは多いけど、負けたくはない」と言ったように、南野の存在が矢島のハートに火を付けた面もあったはずだ。
浅野や豊川らスーパーサブの存在は、ゲームの進め方にも大きな影響を与えている。彼らが控えているからこそ、先発の選手たちは劣勢を強いられても相手の運動量が落ちるまで我慢ができる。そこまで耐えれば、彼らが決めてくれるという信頼があるからだ。
そうした理想的な展開となったのが、延長戦で3ゴールを奪って仕留めたイラン戦だったのだ。
チームを活性化させているもうひとつの理由は、指揮官のローテーションによる采配である。グループステージでメンバーをローテーションさせたばかりか、負ければ終わりとなる準々決勝でも、メンバーを入れ替えることにためらいはなかった。
イラン戦ではザルツブルクに所属する南野拓実は最後までピッチの外から戦況を見守った。最初にピッチを去ったのは、ヤングボーイズでプレーする久保裕也だった。アンタッチャブルな存在はなく、誰かに頼るチームではない。この先、誰もスタメンは保証されていない――それが選手全員のモチベーションと競争意識、一体感を高めている。
2試合連続してスタメンに抜擢されたオナイウ阿道が言う。
「誰がスタメンになるか分からない。僕はいつでもいけるように準備していたし、みんなも誰が出てもしっかりやれていたと思います」
手倉森監督は大会が始まる前、こんな風に言っていた。
「このチームは国際経験の少ない集団だから、勝ちながら経験を積んでいくしかない」
まさに今、U-23日本代表は試合を追うごとに逞しさを増している。
取材・文:飯尾篤史(サッカーライター)
そのなかで今大会において実際にゴールを奪ったのは、久保と豊川のふたりだが、久保がいなければ、鈴木はエースの重圧をひとりで背負うことになっていたし、タイとの2戦目で鈴木がゴールを奪えたのは、その直前まで浅野と豊川が決定的なシュートを放ち、マークが分散していたおかげでもあっただろう(とはいえ、鈴木のゴールは素晴らしかったが)。
また、タイ戦でゴールを決めた矢島慎也が「拓実は本当に巧い。見習うところは多いけど、負けたくはない」と言ったように、南野の存在が矢島のハートに火を付けた面もあったはずだ。
浅野や豊川らスーパーサブの存在は、ゲームの進め方にも大きな影響を与えている。彼らが控えているからこそ、先発の選手たちは劣勢を強いられても相手の運動量が落ちるまで我慢ができる。そこまで耐えれば、彼らが決めてくれるという信頼があるからだ。
そうした理想的な展開となったのが、延長戦で3ゴールを奪って仕留めたイラン戦だったのだ。
チームを活性化させているもうひとつの理由は、指揮官のローテーションによる采配である。グループステージでメンバーをローテーションさせたばかりか、負ければ終わりとなる準々決勝でも、メンバーを入れ替えることにためらいはなかった。
イラン戦ではザルツブルクに所属する南野拓実は最後までピッチの外から戦況を見守った。最初にピッチを去ったのは、ヤングボーイズでプレーする久保裕也だった。アンタッチャブルな存在はなく、誰かに頼るチームではない。この先、誰もスタメンは保証されていない――それが選手全員のモチベーションと競争意識、一体感を高めている。
2試合連続してスタメンに抜擢されたオナイウ阿道が言う。
「誰がスタメンになるか分からない。僕はいつでもいけるように準備していたし、みんなも誰が出てもしっかりやれていたと思います」
手倉森監督は大会が始まる前、こんな風に言っていた。
「このチームは国際経験の少ない集団だから、勝ちながら経験を積んでいくしかない」
まさに今、U-23日本代表は試合を追うごとに逞しさを増している。
取材・文:飯尾篤史(サッカーライター)