ユーベで与えられた新たな役割とは?
パレルモで絶対的なエースとして大活躍した昨シーズンのディバラは、3-5-1-1の1トップとして、カウンター主体の戦術の中で前線を自由に動き回り、オープンスペースでのドリブル突破など単独プレーで違いを作り出すのがスタイルだった。
これに対し、ほとんどの試合で主導権を握り敵陣で長い時間を過ごすユベントスでは、前線のアタッカーにかかる敵のプレッシャーはずっと厳しく、プレーのためのスペースも時間も限られている。そのうえ、チームの組織的な戦術の中で周囲と連携しながら機能することも求められるのだ。
ユベントスがディバラに求めたのは、最前線で自由にプレーするCFではなく、セカンドトップとしての働き。CFと連動しつつ前線をワイドに動き回り、2ライン(DFとMF)間でマークを外してパスを引き出し、そこからの仕掛け(単独でもコンビネーションでも)で決定的な場面を作り出すという新たな役割だった。まさに、昨シーズンまでテベスが担っていたそれである。
若いディバラがこうした新たな戦術的環境とタスクを消化し、その中で本来のタレントを発揮するためには、段階的な導入プロセスとそれなりの時間が必要だというのは、アッレグリ監督にとっては当然のことだった。
そしてその「準備期間」をクリアした今、ディバラは戦術メカニズムの中で、中盤と前線を結びつける仕掛けのプロセスのキープレーヤーとして重要な働きを担いながら、フィニッシュにも絡んで決定的な違いを作り出している。
本当の意味でテベスの後継者になる日も、そう遠くはないかもしれない。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
これに対し、ほとんどの試合で主導権を握り敵陣で長い時間を過ごすユベントスでは、前線のアタッカーにかかる敵のプレッシャーはずっと厳しく、プレーのためのスペースも時間も限られている。そのうえ、チームの組織的な戦術の中で周囲と連携しながら機能することも求められるのだ。
ユベントスがディバラに求めたのは、最前線で自由にプレーするCFではなく、セカンドトップとしての働き。CFと連動しつつ前線をワイドに動き回り、2ライン(DFとMF)間でマークを外してパスを引き出し、そこからの仕掛け(単独でもコンビネーションでも)で決定的な場面を作り出すという新たな役割だった。まさに、昨シーズンまでテベスが担っていたそれである。
若いディバラがこうした新たな戦術的環境とタスクを消化し、その中で本来のタレントを発揮するためには、段階的な導入プロセスとそれなりの時間が必要だというのは、アッレグリ監督にとっては当然のことだった。
そしてその「準備期間」をクリアした今、ディバラは戦術メカニズムの中で、中盤と前線を結びつける仕掛けのプロセスのキープレーヤーとして重要な働きを担いながら、フィニッシュにも絡んで決定的な違いを作り出している。
本当の意味でテベスの後継者になる日も、そう遠くはないかもしれない。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。