昇格戦という舞台は、ポーカーゲームのような心理的掛け合いの色を伴う。
J1昇格プレーオフでは、心理戦の様相がより色濃く映る。
例年、「引き分けでもいい」3位のクラブよりも「勝つしかない」6位のクラブが優勢、という逆転現象が起こってきた理由は、その心理作用に大きな影響があった。
アドバンテージを守ろうとする後ろ向きな気持ちが、相手につけ入る隙を与えてしまう。そしてひとたび勢いを与えてしまうと、押し返すのは難しいの。それがサッカーというスポーツの特性なのだ。
今季は3位の福岡が勝ち抜け、昇格を果たした。しかしC大阪に失点を喫するまでの彼らは、「同点でも昇格」という心理面から果断さを欠いていた。失点後、息を吹き返したように攻めに出て、どうにか中村北斗の得点で追いついたが、過去の轍を踏むところだった。もっとも、C大阪が守りに入ったことで福岡は勢いづいたわけで、ここでも心の動きが反映されていた。
もちろん、切羽詰まった状況でこそ地金が出るとも言える。しかし下部リーグという技術、戦術的に決してレベルが高くはないゲームでは、精神的要素が強くなるのは必然だろう。
昇格戦という舞台は、ポーカーゲームのような心理的掛け合いの色を伴う。そこに当該チームのファンならずとも、人々は興奮を感じる。原始的で分かりやすい、博打的なドラマ要素が豊富なのだろう。舞台役者となる選手の受ける圧迫は尋常ではないが――。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
例年、「引き分けでもいい」3位のクラブよりも「勝つしかない」6位のクラブが優勢、という逆転現象が起こってきた理由は、その心理作用に大きな影響があった。
アドバンテージを守ろうとする後ろ向きな気持ちが、相手につけ入る隙を与えてしまう。そしてひとたび勢いを与えてしまうと、押し返すのは難しいの。それがサッカーというスポーツの特性なのだ。
今季は3位の福岡が勝ち抜け、昇格を果たした。しかしC大阪に失点を喫するまでの彼らは、「同点でも昇格」という心理面から果断さを欠いていた。失点後、息を吹き返したように攻めに出て、どうにか中村北斗の得点で追いついたが、過去の轍を踏むところだった。もっとも、C大阪が守りに入ったことで福岡は勢いづいたわけで、ここでも心の動きが反映されていた。
もちろん、切羽詰まった状況でこそ地金が出るとも言える。しかし下部リーグという技術、戦術的に決してレベルが高くはないゲームでは、精神的要素が強くなるのは必然だろう。
昇格戦という舞台は、ポーカーゲームのような心理的掛け合いの色を伴う。そこに当該チームのファンならずとも、人々は興奮を感じる。原始的で分かりやすい、博打的なドラマ要素が豊富なのだろう。舞台役者となる選手の受ける圧迫は尋常ではないが――。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。