【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の四十七「監督への道のり」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年12月04日

集団をマネジメントする点で、サッカーの監督は特別な技能が必要。

欧州のサッカー界では、どんな選手も指導者としての経験を積むことが一般的。スター選手だったジダンも、レアル・マドリーのBチームから歩みをスタートした。(C)Getty Images

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 日本のプロ野球では、現役引退後すぐに監督になるケースが珍しくない。むしろ、こちらのほうが通例とも言えるだろう。
 
「代打、俺」という名言もあるように、プレイングマネージャーというのもまったく驚きに値しない。なにより、代表監督でさえも引退後すぐという人事だった。
 
 これはサッカーにおいては“暴挙”に近い。実はふたつのスポーツの特性は、根本的に異なる。
 
 野球は基本的にバッターとピッチャー(キャッチャーも関わった)の1対1で競技が推移する。打球をどうさばいて送球するかなどの連係はあるが、塁上の選手とバッター以外はそこに関わらないし、ランナーがどれだけ速くても一定のコースを走り、個人のプレー精度によってセーフかアウトが決定される。
 
 集団競技であるが、個人戦の比重が高い。
 
 サッカーは究極的には1対1だが、常に11人対11人の様相を呈する。1対1であっても、周りの動き(それも敵も含めて)を使い、数的優位を作ったり誘いをかけて局面を打開しようとする、もしくはしなくては上手くいかない。
 
 90分間、間断なく攻撃と守備が入れ替わるスポーツで、連続性がひとつの特徴と言える。そのなかで、集団対集団でいかに戦うかのスキルが求められるのだ。個人としての技術体力は必要だが、それ以上に集団の力が問われる。
 
つまり、集団をマネジメントする点で、サッカーの監督は特別な技能が必要だ。
 
 欧州のサッカー界では、どんな選手も指導者としての経験を積むことが一般的である。具体的に言えば、ユースやジュニアユース、あるいは下部リーグの監督から経歴を新たにスタートする。そこで人を束ね、ひとつの方向に向かわせるという集団掌握術を学び、士気を高め、戦い方を修正するなどリーダーのいろはを覚えていく。さもなければ、集団の秩序すら保てないのだ。
 
 世界最高の選手だったジネディーヌ・ジダンのような英雄であっても、レアル・マドリーのBチームから指揮を執っている。ジョゼップ・グアルディオラに至っては、バルセロナのトップチームの監督オファーを固辞し、Bチームから出発。さすが世界の名将となる男、なんと賢明な選択か。監督という職業は、選手の延長ではない。特別に尊敬される立場だけに、特殊な習熟が必要となる。

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