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日本人4選手が出場した下位直接対決で感じた緊張感。伊藤弾のシュツットは最下位脱も、浅野所属ボーフムはファンと選手が衝突「一致団結しなければ…」【現地発】

カテゴリ:中野吉之伴

サッカーダイジェストWeb編集部

2023年04月15日

失望したファンの一部がチームへ侮蔑的な言葉を

浅野(右)も悪くないプレーを見せたが…。(C)Getty Images

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 先に失点したボーフムだが、試合への入りは悪くはなかった。前線からの積極的なプレスでボールを奪取すると素早い攻撃でゴールへ迫っていく。浅野は激しい競り合いにも負けず、五分五分のボールをキープしたり、自分たちのスローインやCKにしたりと前線で基点を作ろうと奮闘。28分にはCKからホフマンが折り返したところにヘディングで合わせたが、これはGK正面をついてしまった。

 0-1で終わったハーフタイム。記者席の後ろでボーフムファンが熱弁している。

「出足良かったのに、失点で勢いがなくなってしまった。ボールが全然前線に収まらない」
「いい出来とは言えない前半だよな。でも1点入ったら流れは変わるはずだ」
「サイドにスピードのある選手がいるんだから、スペースがある時に素早く展開しないと」

 そんな言葉通りにボーフムが相手のミスから同点に追いつく。57分、エンゾ・ミロットがフィリップ・フェルスターを引っ張り倒してPKを獲得。これをケビン・シュレーガーがこれを決めた。

 ボーフムサポーターの願い通りの展開だ。そして、この一撃のゴールが流れを変える。ボーフムの勢いがきっとここから増してくる。だがそんな雰囲気がスタジアムにあふれ出した瞬間、シュツットガルトがあっさりと勝ち越しゴールを奪う。60分、ソサの左アウトサイドでのクロスにボーフムDFが足を止めてしまった。ファーポスト際で完全にフリーのセル・ギラシーがダイレクトで押し込んだ。
 
 喜びに沸くシュツットガルトのベンチで、ヘーネス監督は給水に来たキャプテンの遠藤を呼び寄せると熱く語る。コーチが加わる。遠藤は何度もうなづく。この日の日本代表MFはボールに絡む頻度も多く、大事な場面でボールを奪取し、チームに確かな安定感をもたらしていた。

 そして63分、何でもないと思われた左サイドからのクロスをGKマヌエル・レーマンが距離感を見誤り、シュツットガルトDFヨシャ・バグノマンがヘディングで難なく押し込んで3点目を挙げる。

 軽率なミスで失点を重ねるボーフムだが、あきらめずに戦い続ける。ボーフムファンも文句を口にしながらも、チームを支える応援を止めたりはしない。70分、浅野が鋭い動きで伊藤の後ろのスペースに抜け出すとゴール前を横切るクロスを送る。ファーポストからつめたゲリット・ホルトマンが強烈な左足シュートを放つがこれはGKがファインセーブ。85分にはボーフムが細かいパス交換から左サイドを攻略し、折り返しをFWフィリップ・ホフマンが合わせて1点差に迫る。

 だが、あと1点が遠かった。試合後、結果に失望したファンの一部がチームへ侮蔑的な言葉を投げかけ、それを聞きつけたGKリーマンが激高して小競り合いが生じるというシーンもあった。ボーフムは公式ホームページで声明を発表している。

「私たちは、また残留を達成できると信じている。でもそれは一致団結しなければ上手くいかない。もし誰かがボーフムを損なおうとするなら、我々はそれに毅然と立ち向かい、残留を果たそうとピッチで戦う選手を全力で守る。ピッチに立つ選手から応援席で支えてくれるファンまで一丸となって最大限に戦って、支え合おう」

 苦しい時に自暴自棄になったらジ・エンドだ。最後の最後まで何が起こるかわからない。それこそシュツットガルトは昨季、本当に最後の最後で残留を実現している。残留争いしている同士の直接対決もまだまだある。自分たちを信じているならば、それを実現するためにハードに取り組み続けるしかない。

 スタジアムからの帰り道、ボーフムファンの話が聞こえてきた。

「今日はダメだったけど、残留争いはここからだな。倒れたところから立ち上がるのが俺たちの強さだ」

 そういってがっちり握手を交わす彼らを見ていると、愛するクラブとともに戦う素晴らしさを深く感じさせられる。シーズンはまだこれからだ。

取材・文●中野吉之伴
 
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