ACAFPは日本・ベトナム外交関係樹立50周年事業の一環としてPVFアカデミーのユース選手３人をインターンシップでデインズに招き、彼らの２か月間の奮闘をベトナムの国営テレビ局やPlaysiaTV（ACAFPによる動画プラットフォーム）を通じて放映した。

「アジアの選手がヨーロッパでプレーするにあたって重要なのは、早いうちに欧州の環境に慣れたり、欧州でプレーすることを体感しておいたりすることなんです。そのことを知らないでトレーニングするのと、その感覚を持ち帰ってトレーニングするのとでは全然違ってきます。
　
　PVFアカデミーのテクニカル・ダイレクターはベルギー年代別監督を務めたエリック・アブラムスさんです。彼は『東南アジアの選手にはものすごいポテンシャルがあるが、トップレベルまで行くには欧州での経験が必要だ』と我々に共感してくださり、今回の企画が始まりました。

　ユースの選手たちを支援することは昔から行われていますが、成果が出るのは先のこと。私たちはプロセスエコノミーのように、彼らの成長や葛藤といった現在進行系のストーリーとしてコンテンツにつなげる。それがベトナム国営テレビでのドキュメンタリー番組や、PlaysiaTVでの独自コンテンツになりました」
 

　日本人選手が欧州挑戦を始めた頃はいらぬ苦労もあった。その経験が積み重ねとなってノウハウとなり、昔と比べるとスムーズに欧州サッカーに溶け込めるようになった。

「私たちでいう中田英寿さんの世代が、まさに今の東南アジアの若い選手たちじゃないでしょうか。デインズにはマルセリーノ・フェルディナン（インドネシア代表）という18歳の選手がいて、ベルギー２部リーグで十分プレーするクオリティを持ってます。そういう選手たちをどんどん増やしていく段階に来てますね。とはいえ、ヨーロッパのクラブは東南アジアの選手をじっくり育てる我慢強さがない。私たちは、彼らに対してもっと長期的な目線でヨーロッパに馴染んで適合して活躍できる環境をトップチームや下のカテゴリーから用意していきます」

　昨年のW杯開催中には浦和レッズから３選手が練習参加し、そのうち宮本優太が半年のローン契約でデインズに加入した。シンガポールの英雄を父に持つイルハン・ファンディは現在、負傷でリハビリに努めているが、タレントとして大きな期待を負っている。