05年の破産危機が大きな契機となり、「育成重視」の路線へ舵を切る。
ドルトムントが本格的に育成に力を入れ始めるきっかけとなったのが、05年の破産危機だ。高額な移籍金でビッグネームを買い漁る放漫経営のツケが回って借金が膨らみ、当時の経営陣は退任に追い込まれた。
代わってCEOに就任したハンス=ヨアヒム・ヴァツケの下、ワールドクラスを次々と獲得する「即戦力重視」から下部組織に軸足を置いた「育成重視」の路線に方針を変更。まず取り掛かったのがユース部門の環境改善で、年間300万~400万ユーロ(約4億2000万~5億6000万円)の予算をつぎ込み、10年の歳月をかけて国内トップクラスの施設を作り上げた。
練習場の隣には医療スタッフや心理セラピストが常駐する寮があり、多くの選手がここから提携を結ぶ学校へ通う。9~16時は他の学生と同じように授業を受け、それからアカデミーに戻ってトレーニングを開始する。いわゆる“サッカー浸け”の生活ではなく、あくまで“人間教育”に主眼を置いているのが、大きな特長だ。
選手を指導するうえで最も重視しているのが、スピードだ。単純な足の速さはもちろん、状況判断にも磨きをかけ、さらに素早い展開でも正確にプレーできるように訓練している。この方針はU-9からドルトムントⅡまで、共通して重きが置かれている。
こうした一貫指導を行なうようになったのは、08~15年にトップチームを率いたユルゲン・クロップ前監督(現リバプール監督)の影響が大きい。
彼が志向していたトランジションサッカーには迅速な攻守の切り替えが必須で、トップチーム昇格後にすぐに戦術に適応できるようユース選手にも徹底して「スピード」を求めたのだ。今シーズンからトーマス・トゥヘルが新監督に就任しても、その方針は大きく変わっていない。
判断力とプレーの正確性を高めるうえで、大きな役割を果たしているのが、11年に100万ユーロ(約1億4000万円)をかけて導入した『フットボナウト』というトレーニングマシンだ。
プレーヤーは8つのボール発射装置に囲まれ、そのうちの1つからランダムに出てくるボールに反応し、指定されたエリアにパスを送り込む。ユース選手は少なくとも週1回、このトレーニングが義務付けられている。これにより、育成年代のノルマとされる「年間5000回のボールタッチ」もクリアできるという。
代わってCEOに就任したハンス=ヨアヒム・ヴァツケの下、ワールドクラスを次々と獲得する「即戦力重視」から下部組織に軸足を置いた「育成重視」の路線に方針を変更。まず取り掛かったのがユース部門の環境改善で、年間300万~400万ユーロ(約4億2000万~5億6000万円)の予算をつぎ込み、10年の歳月をかけて国内トップクラスの施設を作り上げた。
練習場の隣には医療スタッフや心理セラピストが常駐する寮があり、多くの選手がここから提携を結ぶ学校へ通う。9~16時は他の学生と同じように授業を受け、それからアカデミーに戻ってトレーニングを開始する。いわゆる“サッカー浸け”の生活ではなく、あくまで“人間教育”に主眼を置いているのが、大きな特長だ。
選手を指導するうえで最も重視しているのが、スピードだ。単純な足の速さはもちろん、状況判断にも磨きをかけ、さらに素早い展開でも正確にプレーできるように訓練している。この方針はU-9からドルトムントⅡまで、共通して重きが置かれている。
こうした一貫指導を行なうようになったのは、08~15年にトップチームを率いたユルゲン・クロップ前監督(現リバプール監督)の影響が大きい。
彼が志向していたトランジションサッカーには迅速な攻守の切り替えが必須で、トップチーム昇格後にすぐに戦術に適応できるようユース選手にも徹底して「スピード」を求めたのだ。今シーズンからトーマス・トゥヘルが新監督に就任しても、その方針は大きく変わっていない。
判断力とプレーの正確性を高めるうえで、大きな役割を果たしているのが、11年に100万ユーロ(約1億4000万円)をかけて導入した『フットボナウト』というトレーニングマシンだ。
プレーヤーは8つのボール発射装置に囲まれ、そのうちの1つからランダムに出てくるボールに反応し、指定されたエリアにパスを送り込む。ユース選手は少なくとも週1回、このトレーニングが義務付けられている。これにより、育成年代のノルマとされる「年間5000回のボールタッチ」もクリアできるという。