特にアドバイスをもらったのが、MF相馬勇紀(現カーザ・ピア)だったという。背格好も近く、ポジションは同じサイドハーフ。さらに持ち味がドリブルとあって共通点は多い。そんな先輩からトレーニングの方法を教わり、首や腕の筋力を強化することに力を注いだ。
また、身近な存在だった相馬が昨年7月のE-1選手権でMVPと得点王に輝き、勢いそのままに11月のカタール・ワールドカップのメンバーに入った点も大きな出来事だったという。
「縦突破の時に相手の前に潜り込む動きや、一瞬のスピードで抜くのは凄いと思うので、自分も真似したい」というプレー面を参考にして、「相馬君もオリンピックに出てA代表に入ったので、自分もそうなりたいなって思っている」と刺激を受けた。
右サイドから崩し、ゴール前でも仕掛ける
様々な経験を経て、迎えた今大会。中国戦は右サイドハーフで先発したが、前半45分の出場に止まった。「前半は(右SBの)屋敷(優成)との連係を上手く出せなくて、オーバーラップやインナーラップを使うか使わないかのところまで持っていけなかった」とは甲田の言葉。得意のドリブルも数えるほどしか繰り出せなかった。
だからこそ、次のキルギス戦は結果を残したいところ。「(自分が入る)右サイドで崩すことを次のキルギス戦ではやっていきたい」と話し、「ペナルティエリア内に入れば、相手はファウルをしづらい。そうなれば、持ち味を出しやすいので、中で勝負できたら良いと思う」と決定的な仕事を果たすことも誓う。
このままでは終われない。アジアの戦いで結果を残し、飛躍を遂げるための足掛かりにしてみせる。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)