キレのあるドリブルは世代屈指のレベルだろう。小気味良いタッチで相手の懐に入り、決定的な仕事をこなす。さらにそれだけではなく、スピードを落とさずに仕掛けられるのも魅力だ。
名古屋U-18時代から注目を集めてきたMF甲田英將にとって、このU-20アジアカップは自身の価値を再証明する戦いでもある。
3月3日に幕を開けたU-20アジア杯。U-20日本代表は中国とのグループステージ初戦を逆転勝利(2-1)で飾り、勝点3を掴んで幸先の良いスタートを切った。次の戦いは6日のキルギス戦。5日のトレーニングは冒頭15分のみの公開となったが、チームは明るい雰囲気の中でメニューを消化して2戦目に備えた。
そのなかでキルギス戦に向けて闘志を燃やしているのが、名古屋に所属する甲田だ。168センチと決して大柄ではないが、経験値はこの年代でも頭ひとつ抜けており、実力も折り紙付きだ。
2021年にはU-23アジア杯の予選で、U-22代表のメンバーに飛び級で選出され、翌年3月にはパリ五輪を目ざすチームの一員としてドバイ遠征に参戦。
昨年5月に全治3か月の重傷
「U-22代表に選出され、飛び級でU-20代表にも選ばれた。その時に良いプレーも出せて、結果も残せたことで自信もついてきました」
しかし、甲田に悲劇が襲い掛かる。5月18日のルヴァンカップ・徳島戦で、左膝外側半月板損傷の怪我を負い、全治3か月の診断を受けた。
長期間のリハビリを余儀なくされ、6月のU-23アジア杯はもちろん、同年代が集まるU-19代表の活動も見送りに。9月14日の22節・川崎戦で途中出場を果たして復帰したものの、同時期に行なわれたU-20アジア杯予選のメンバーからも漏れてしまった。
甲田にとっては痛すぎる長期間の離脱。だが、その時期を無駄にせず、さらなる成長のために地道に努力を重ねてきた。「代表に選ばれなくなって、チームでも試合になかなか絡めなくなった。本当に怪我して悔しかったんです」という想いを胸にしまい、ウィークポイントと感じていた上半身のトレーニングに着手。チームのフィジカルコーチやトレーナーに話を聞くだけではなく、チームメイトにも意見をもらいながらパワーアップを図った。
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