【CLポイント解説】バルサ大勝を生んだローマの「腕試し」

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年11月25日

ピッチ上に存在するチームはバルサだけだった。

積極的な「腕試し」を仕掛けたローマだが、前半だけで3失点とバルサに力の差をまざまざと見せつけられた。(C)Getty Images

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■ポイント3
バルサの圧倒的なポゼッション

 
 ローマにもまったくチャンスがなかったわけではない。先制点を喫する直前の13分には、ほとんど偶然に手に入れたこの試合最初のCKから、ゼコが際どいヘディングシュートを放った。
 
 しかし、2失点目以降は完全に意気消沈し、ラインの押し上げやプレスも中途半端になって押し込まれる一方、たまにボールを奪ってもバルサの素早いハイプレスの前に出しどころを見出せず、闇雲に大きく前に蹴っては奪われるという繰り返しだった。
 
 バルサがややペースを落としたこともあり、2失点後は前半終了間際まではゴールを与えずに持ちこたえたが、73パーセント対27パーセントという前半のボール支配率が物語る通り、ピッチ上に存在するチームはバルサだけだった。
 
 前半終了間際の3点目は、クロスの中途半端なクリアボールをスアレスが見事なボレーシュートで叩き込んだもの。組織的な攻撃だけでなくこうした個人技でも決定的な違いを作り出せるところが、バルセサの絶対的な強さである。
 
 
■ポイント4
「消化試合」の代償

 
 ガルシア監督は後半頭から、MFナインゴランに代えてスピードのあるFWイトゥルベを投入し、システムを4-3-3(実質4-5-1、しばしば6-3-1)から4-4-2に変更。カウンターアタックを強化して再びハイプレスを仕掛けることで、何とか反撃に出ようと試みた。
 
 立ち上がりの5分あまりは勢いに乗って攻勢に立つ場面もあり、珍しくパスが繋がってチーム全体を押し上げた54分には、ゼコのスルーパスで裏に抜け出したI・ファルケがGKと1対1になる決定的な場面を得る。
 
 しかし、そのシュートも敵GKテア・シュテーゲンに阻まれて得点ならず。逆にその直後(56分)には、ショートコーナーからの展開でメッシ→ピケと渡って4点目。その5分後にはネイマールが左サイドからドリブルで仕掛けスアレス→メッシと渡って5点目と、完全に一方的な展開となった。
 
 この時点ですでにローマは緊張の糸が切れており、残り30分をどうしのぐか以外頭にないような戦いぶり。結局、双方が1点ずつ追加してゲームセットとなったが、ローマは最後まで手も足もでないまま一方的にバルサに蹂躙されたという印象以外残さなかった。
 
 消化試合とはいえ、6失点がもたらす精神的なダメージが大きく後を引く可能性は小さくない。バルサを敵に回して正面から戦いを挑むという無謀な「力試し」がもたらしたこの結果を、ローマがどのように吸収・消化するのかは興味深いところだ。
 
文:片野道郎
 
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