【プレミア現地コラム】「リオの後継者」がいよいよ本領を発揮か!?

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2015年11月13日

快足1トップのウォルコットにマンマークで勝利。

0-3で敗れたアーセナル戦でもスモ―リングは存在感を示す。後半は執拗なコンタクトで快足ウォルコットに仕事をさせなかった。 (C)Getty Images

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 ファーディナンドの後継者と目されてユナイテッドに入団したのが2010年。フルアムから引き抜いたサー・アレックス・ファーガソン元監督と、続くデイビッド・モイーズ前監督は、サイドバックもこなすスモーリングを便利に使い過ぎて成長を停滞させた感がある。
 
 本職注力の方向性に切り替わったのは、昨夏のファン・ハール監督就任以来。新指揮官は、自身初のマンチェスター・ダービーでスモーリングが敗戦に繋がる退場処分を受けても、「愚かな行為だ」と発言してお灸は据えたものの、CB登用は止めなかった。
 
 その甲斐あって、今シーズンのスモーリングは不動の第一CBだ。11月7日のウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦(12節/2-0)では、フィジカルを武器に3試合連続ゴールを狙っていたホセ・サロモン・ロンドンを難なく料理。4日前のCSKAモスクワ戦(1-0)では、GKのセーブ後も気を抜かずにライン上でのクリアを披露して、敵の先制を阻止した。
 
 0-3で敗れた8節のアーセナル戦にしても、攻守両面において中盤が機能不全に陥ったのが大きな敗因で、後半のスモーリングは相手の1トップ、セオ・ウォルコットにマンマークで勝利した。
 
 ウォルコットのスピードを恐れずに張り付けるCBは滅多にいない。だからこそアーセナル戦の大敗を含む10月のチーム最優秀選手に、ファン投票でスモーリングが選ばれたのだ。
 
 ユナイテッドのサポーターは、スモーリングを「マイク」と呼ぶ。一度ならず二度までも名前を間違えたファン・ハール監督の揚げ足取りだが、以前なら「監督に名前すら覚えてもらえていない」とファンにからかわれていただろう。だが現在は、愛着と信頼を込めて「マイク」と呼ばれている。
 
「一生言われそう」と苦笑する当人も、まんざらではないだろう。いよいよ「リオの後継者」という呼び名に相応しい姿を見せはじめたのだから。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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