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「日本戦で全ての歯車が狂った」スペイン代表のW杯早期敗退を母国記者が指弾 「他の強豪国に比べてタレント力で劣っている」「戦犯は…」

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2023年01月13日

1000本以上のパスを繋いで、シュート3本

楽観的思考を唱えたが、不可避の事態を回避できなかったL・エンリケ前監督。(C)Getty Images

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 ルイス・エンリケが選んだのは、メンバー26人のうち20人がW杯デビューという若く野心的な選手たちを鍛えて、良いサッカーをすることだった。コスタリカ戦後は、その賭けが奏功するような高揚感が生まれ、かつてのオランダ代表のように、スペインの革新的なサッカーが大きな関心を集めた。

 全ての歯車が狂ったのは、日本戦の敗北(1-2)だった。ドイツがコスタリカに勝利(4-2)してくれたおかげで敗退を免れたが、モロッコに敗れて(0-0[PK0-3])ルイス・エンリケスペインの挑戦は終わった。味方のGKも自軍のゴールも存在しないかのように守備時にもボールを握ることを前提とする攻撃的なサッカーも、流麗で正確なパスワークも、見る影もなかった。

 ピッチ上で展開されたのは、プレーリズムも驚きもない、ただただボールを回して保持するだけの代物だった。ルイス・エンリケ監督が交代選手を投入しても、状況は変わらず、相手守備陣に跳ね返され続けた。ルイス・エンリケのゲームプランにとってモロッコはもともと相性最悪のチームだったが、さらに過酷なフェーズにはまり込んだ。1000本以上のパスを繋いで、シュート3本という数字がスペインの攻撃の単調さを物語っていた。

 とにかく負け方が悪かった。大会が始まって以来、遅かれ早かれ敗北がやって来ると自覚していたアンチですらも、その事実を受け入れることができなかった。試合内容(解決不可能)、タイミング(ラウンド16)、対戦相手(モロッコ)いずれの観点から見ても、だ。もちろんルイス・エンリケと一緒にまだまだ冒険を続けることを確信していたシンパの失望の大きさは想像に難くない。
 
 両者に違いがあるとすれば、こうした信奉者は、うわべだけの強さを強調したルイス・エンリケの行為に対し、騙されたとか裏切られたとかいった負の感情を持ち合わせていないことだ。むしろ2018年にともに歩みを始めた道のりを刺激に満ちた期間だったと受け止め、リーダーとしての責任から逃げることなく、選手を擁護し続けた指揮官のイデオロギーを支持した。

 しかしやはり早期敗退の戦犯は、攻めて勝つことに固執するあまり、勝負事はいつでも負ける可能性があることを見通すことができなかった人物だ。ルイス・エンリケである。ラ・リーガは近年タレントの流出に歯止めかからず、“ラ・ロハ”は、黄金時代への強烈なノスタルジーを払拭することができずにいる。そんな中、ルイス・エンリケはモダンさと楽観的思考を唱えたが、不可避の事態を回避することはできなかった。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙記者)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
 
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