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【中澤佑二コラム】コスタリカ戦の失点場面で、吉田はなぜパスを選択したのか? それよりも気になる2つの事象

カテゴリ:日本代表

中澤佑二

2022年11月29日

“監視”であって“奪う”ではなかった

攻めあぐねていた日本は、81分に一瞬の隙を突かれて失点。(C)Getty Images

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 今の日本代表は、前から追いかけていって、ボールを奪ってからのショートカウンターで強さを見せる。でも、自分たちでボールを握った時は、アジア予選を通じても、あまり良さを出せていなかった。格下相手にポゼッションで優位に立っても、1点を取るまでに手こずっていた印象がある。

 コスタリカ戦でも、そうした傾向が見て取ることができた。奪ったあとに速く攻められなかったし、選手同士の距離感も今ひとつ。一人ひとりの、ああしたい、こうしたい、ああしたほうがいい、こうしたほうがいい、というのがまとまり切れていなかったように思う。

 コスタリカは前半、日本のプレッシングを回避するために、左サイドから何本か長いボールを蹴ってきた。脅威となる攻撃ではなかったものの、遠藤と守田の両ボランチがセカンドボールに備えるために、少しだけ下がった。

 これで、前から行きたい攻撃陣と、ロングボールを警戒する守備陣とが多少、間延びしてしまった。ボールを奪うためのアクションが少なからず停滞。ディフェンス面でもノッキングする時間帯があった。

 後半は選手交代などを含めて、攻勢をさらに強めたが、なかなかコスタリカの堅い守備をこじ開けられない。攻めあぐねていると、81分、一瞬の隙を突かれて先制を許す。
 
 左サイド、相手のふわりと浮かしたパスを伊藤がヘッドでクリアする。こぼれ球を、吉田がダイレクトで少し前にいる守田へ浮き球のパス。これを守田が支配下に置けず、相手にボールが渡る。そこからペナルティアーク付近にいたフレールにパスが通り、左足のシュートを決められた。

 失点の場面は、吉田が一番分かりやすくフォーカスされるだろうけど、その前段階でも気になるポイントがあった。

 まず、伊藤がクリアした相手のパス、それを簡単に出させていたのが気になった。タッチライン際で、ボールをキープする敵を三笘は監視していた。でもそれは文字通りの“監視”であって、“奪う”ではなかった。
 
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