ナポリの好調を支えているのは、コンパクトな陣形を保っての組織的なハイプレス。敵陣でのボール奪取がより多くのゴール、そしてチームの勝利に繋がると指揮官に説得されたイグアインは、献身的なプレッシングに奔走している。
前線でチャンスを待ち続けて数少ない決定機をゴールに結びつけることが多かった昨シーズンまでとは打って変わり、モダンなCFとして新たなプレースタイルを確立しつつある。前述のフィオレンティーナ戦の決勝点、そして9月27日のユベントス戦(6節)でエルナネスの横パスをかっさらってそのままねじ込んだゴールはその象徴だ。
もちろん、タイミングよく裏に抜け出してのワンタッチゴールや鋭いドリブル突破からのシュートと、点取り屋の本領ともいえる得点パターンも健在。現時点で間違いなくセリエA最強の、そしてヨーロッパで最も高いパフォーマンスを発揮しているアタッカーの1人だ。そのプレーを見逃す手はない。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、ロッシ監督とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博す。