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浦和レッズの元守護神、山岸範宏が探求する“GKコーチの理想郷”。大事にしている恩師オフトの戒め

カテゴリ:Jリーグ

河野正

2022年09月07日

「龍太と競争できたから、日本代表クラスに成長できた」

埼スタでビッグセーブを連発した現役時代。都築氏との正GK争いは壮絶の一語に尽きた。(C)SOCCER DIGEST

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 この二人には、“禍福はあざなえる縄のごとし”ということわざが、驚くほど当てはまる。

 山岸は04年の第2ステージ・4節で正GKに返り咲き、初のステージ優勝と横浜とのチャンピオンシップも経験できた。ところが05年2月13日、強化合宿中のサガン鳥栖との練習試合で左肩を亜脱臼し、リーグ戦出場は1試合。初優勝した天皇杯決勝に出たのも都築だった。

 今度は翌06年4月29日の大宮アルディージャ戦で、都築が右ひざを負傷。山岸がポジションを奪還し、リーグ初優勝のピッチに立った。

 07年の開幕戦に先発した山岸だが、2節を控えてインフルエンザに罹患。このチャンスに結果を出した都築は、年間を通じて出色のプレーを披露し、山岸につけ入るスキを与えなかった。リーグ戦こそ連覇を逃したものの、初出場したアジア・チャンピオンズリーグで日本勢として初優勝し、クラブワールドカップでも3位という浦和にも、都築にも輝かしいシーズンとなった。

 対照的に山岸は、2年目以降では最も少ない公式戦出場3試合という屈辱的な1年を過ごした。

「悔しくて仕方なかったですね。どうしてお前がいるんだ、なぜ浦和に来たんだという感情は正直ありました。ただ龍太と競争できたから、日本代表クラスに成長できたのは事実。レギュラーになったほうが日本代表に呼ばれる、という高いレベルの争いは他のクラブにいたら体験できなかったと思います」
 
 08年も都築、09年は秋から山岸が正GKに就いたが、都築が10年6月に湘南ベルマーレへ期限付き移籍。一度も会話することなく、火花を散らした両者の争いは7年半で終幕する。「龍太のプレーとセンスは尊敬しましたよ。周りに気を遣わず感情を出せるのもすごかった」と笑った。

 14年は日本代表の西川周作が加入。加藤順大が2番手で、山岸はベンチからも外れた。36歳になったばかりの6月、J2山形へ期限付き移籍すると、一躍時の人としてスポットライトを浴びる。

 リーグ6位の山形は初のJ1昇格プレーオフに進出し、ジュビロ磐田と準決勝で対戦。1-1で終盤を迎え、引き分けならリーグ4位の磐田が決勝に進む規定だ。ロスタイムが2分経過して右CKを獲得。左足の名手・石川竜也がニアに送ったボールを山岸が頭で合わせ、ゴール左隅に流し込んで決勝点を奪った。

 山岸はジェフユナイテッド千葉との決勝でも好守を連発し、1-0の勝利に貢献。4年ぶりJ1復帰の立役者となった。天皇杯でも初めて準優勝し、“山の神”と呼ばれた。

 完全移籍した翌年、チームは最下位に沈み、1年でJ2に逆戻り。17年にJ3北九州に期限付き、翌年は完全移籍して2年間プレーしたが、18年を最後に18シーズンに及ぶキャリアに終止符を打った。

 引退について山岸は、「40歳まで現役というひとつの目標をかなえられたし、同年代が指導者になったことに刺激を受けた」と説明した。

【動画】山岸か、都築か。鈴木啓太が選ぶ「浦和レッズ歴代ベストイレブン」をチェック!

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