• トップ
  • ニュース一覧
  • 【バイタルエリアの仕事人】Vol.19 上福元直人|守備最優先のGKは、同時に攻撃の第一歩になる。日本代表に推す声には――

【バイタルエリアの仕事人】Vol.19 上福元直人|守備最優先のGKは、同時に攻撃の第一歩になる。日本代表に推す声には――

カテゴリ:連載・コラム

野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

2022年08月30日

あの瞬間は、ボールがゆっくりと見えた

18年のJ1プレーオフでは、決死のヘディングシュートでチームを勝利に導いた。写真:徳原隆元

画像を見る

 攻撃面での貢献度も高い上福元は、東京ヴェルディ時代の2018年J1昇格プレーオフ2回戦・横浜FC戦で決勝点につながるプレーを披露している。スコアレスで迎えた試合終了間際の90+6分、CKに合わせてヘディングシュートを放ち、相手GKが弾いたところを味方がつめて得点。その場面を、上福元に振り返ってもらった。

――◆――◆――

 東京Vはリーグ戦6位でJ1昇格プレーオフに臨んでいたので、レギュレーションによって引き分けならば敗退する。常に勝たなければならない状況でした。通常のリーグ戦では0-0での攻撃参加はありませんが、得点しなければならない状況でした。一応、その状況を想定してGKはクロスを上げてもらってのヘディング練習で、準備していました。

 あの試合はアディショナルタイムが7分と長く、90分過ぎの最初のCKで上がりたいという意思は、(ミゲル・アンヘル・)ロティーナ監督(当時)に止められました。行きたくても、監督の指示は受け入れるしかありません。冷静に考えれば、残り時間が長かったのでリスクがあると納得していました。ロティ―ナは、堅実に判断するタイプの監督ですし。

 次のCKのチャンスが来た時に、再度、前に行きたい意思表示をすると、OKが出ました。練習していましたし、「攻撃参加できる!」と気持ちが高ぶりました。

 相手ゴール前に上がっていく最中に、「ニアにボールが上がって、混戦で“ごちゃごちゃ”となって、ボールがファーにこぼれてこないかな」とパッと思い浮かびました。それで、最初はファーに構えていました。でも、「ちょっと待って。ニアで“ごちゃごちゃ”ってことは、まずニアにボールが来るってことじゃん」と思い直して。

 それで、アクションを変え、真ん中に構えました。CKの時に、182センチの自分は身長が高いといっても、相手はGKに対してヘディングが得意な選手をマークしてきません。あの時も、自分には身長が低いほうの選手がついていました。

 何とかマークを振り切って、ニアに突っ込んでいったら何か起きないかなと思っていました。相手がゾーンでディフェンスしていたのですが、味方が走り込み、目の前にスペースができました。そこに、CKのボールが見事に飛んできて。あの瞬間は、ボールがゆっくりと見える感覚がありました。

 気づいたらヘディングシュートしていました。相手GKにしっかり止められたのですが。「やばい!」とGKの本能的に、すぐにゴール前に戻ろうと思っていたら、味方がつめて得点になっていました。

 あとで映像を確認すると、僕はめちゃくちゃ喜んでいるのですが、「あれ?入っている」というような、不思議な感覚でした。1年に1回だけのプレーでしたので、ボールに触れるとは、思ってもみなかったです。

 自分の感覚を信じて良かったです。ゴール前に上がる意思表示をしなければ、あのプレーは無かった。アクションを起こして良かったと思っています。

【関連動画】上福元が東京V時代に見せたヘディングシュートをチェック
【関連記事】
【バイタルエリアの仕事人】vol.10 小野伸二|「僕を目指してはだめ」黄金世代の“天才”が子供たちに伝えたい“努力”の重要性
【バイタルエリアの仕事人】vol.1 遠藤保仁|日本を代表する司令塔は攻守の重要局面で何を見ているのか?
【バイタルエリアの仕事人】vol.3 柿谷曜一朗|ナニワの天才が語る最重要エリアの魅力。手本にしている選手は…
【バイタルエリアの仕事人】Vol.18 瀬川祐輔|ゴール前での心がけはリラックス「相手のほうが焦っている」
【バイタルエリアの仕事人】Vol.17 パトリック|ボランチとの距離感に気配り。攻守の両局面で効率的にプレーできるように

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ