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元サッカー少年の挑戦「サッカーを諦めた心残りを消して、夢のある競輪で師匠を追い抜く!」

カテゴリ:高校・ユース・その他

2022年07月22日

「練習した分だけ成果が出るスポーツ」

競輪選手となって、師匠と一緒のレースに出ることを目標に、日々訓練に励む。写真:田中研治

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――いきなり始めて、どれくらいで走れるようになりましたか?

「最初は、めちゃくちゃ恐かったです。始めて1週間、いきなりバンクでポイントレースをやったんですけど、そのときは真横にコケました。周りの人たちからも「お前は全然センスがない」と言われたくらいで(笑)」

――センスは関係あるんですか?

「いや、僕は他のスポーツに比べると関係なく、練習したぶんだけ成果が出るスポーツだと思っています。なので、2、3か月しっかり練習したら、みんなと一緒に走れるくらいのレベルにはなりました。自転車部はロードレースとトラックレースの2種類があって、僕はレースをするならロードレースのほうが好きでしたが、練習が本当に嫌いで、バンクを走る短距離系の練習が好きでした。室内でウェイトトレーニングをしたり、機械の自転車を漕ぐ、10秒のもがきをしたりとか」

――室内よりも、景色が見える外のほうが良くないですか?

「ロードレースの練習は、景色なんて目に入らないくらいキツいです(笑)」

――団体競技のサッカーと違って、個人競技の自転車にはどんな楽しさがありますか?

「これは僕の性格かもしれないですが、団体競技は自分のミスで人に迷惑をかけることもあるじゃないですか。それが嫌なんですよね。PKを外してチームが負けるなんて、もう耐えられません。一方で個人競技は、すべて自分なんです。手を抜けば自分に跳ね返ってくるし、頑張れば成果も上がる。僕は大会で勝った経験があまりないですけど、勝てば自分がやってきたことの正しさが証明されるとも思います」

――大学卒業後、一度ロードレースチームに所属したそうですね。

「広島で活動している、ヴィクトワール広島にお世話になりました。プロチームですが、ほとんどの人がバイトをしながらレースに参加している感じです。そこで1年活動して、でも、やっぱり競輪がいい。養成所に入って競輪選手になると思い直して、昨年の3月にチームを離れて師匠の下で練習を始めて、昨年度の養成所入所試験に合格しました」

――競輪の世界で聞く師匠との関係は、どうやって築くのですか?

「ほとんどの候補生が現役の競輪選手に弟子入りして、その方や同じグループのメンバーと一緒にバンクで練習してきたはずです。たとえつながりがなくても、JKAや競輪場に電話して『競輪選手になりたい』と言えば、師匠を探してくれるんですよ」

――競輪選手を目指した理由は?

「まずは自転車に乗るのが好きだし、それでお金を稼げるなら一番じゃないですか。上を見ると何億と稼いでいる選手がいるので、そこにも夢があるなって、魅力を感じました」

――入所して1か月と少し、養成所生活はどうですか?

「決められたルールのなかでの集団生活は厳しい面もあります。だけど、競輪選手になると覚悟を決めて来たので頑張れますし、自転車の練習はやっぱり楽しい。入る前は不味いと聞いていたご飯もめちゃめちゃ美味しくて、話が違うなって。一人暮らしをしていた頃の食事と比べたら栄養面など全然違うので、恵まれていると感じています」

――今後の目標を教えてください。

「一番近いところでは、第1回の記録会でゴールデンキャップ(スピード、持久力が特に優れている候補生が被る金色の帽子。20万円の報奨金も出る)を逃したので、第2回では絶対に獲りたいと思います。卒業まで2回ゴールデンキャップを獲って、その先、デビューしたあとは師匠(吉本哲郎・84期)の地元・広島の記念レースがあるんですが、そこでグループ全員で走ることが目標です。そのためにも早くS級選手になって、師匠と一緒に記念レースを走って優勝できたらいいですね」

――最後に後輩たちへアドバイスを。

「競輪は、まだまだサッカーや野球に比べてメジャーとは言えないスポーツです。ただ、僕のようにサッカーを諦めた選手でもプロに辿り着ける可能性があり、選手寿命も長い。収入面も野球やサッカーに負けていないと思います。いまはサッカーに打ち込んでいると思いますが、引退後、競輪選手という道もあることを、心の隅に留めておいてください」

取材・文 粕川哲男
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