夏は連勝したミランだが、今回のデルビーでは大敗の危険も…。

組織が機能しないチームで頼みの綱となるのは強力2トップ、そしてそれに絡むトップ下だ。本田はジャコモ・ボナベントゥーラに比べ、ゴールに結びつくプレーが少ないとされて評価は低く、デルビーでもベンチスタートが予想される。この先、ペルージャ戦のように、縦横無尽に動いて長短のパスでチャンスを創出し、キラーパスでゴールを生み、さらに自らフィニッシュに絡むという、イタリア人好みのトップ下のプレーを披露できるか。 (C) Alberto LINGRIA
では、オーナーの期待通りの結果が出なかった原因は何だろうか? それはミランに、“プレー”がないからだ。
真のレジスタの補強がされなかったことと、ミハイロビッチがフィジカルに強い中盤を好むことから、中盤はゲームメイクの機能を果たせず、チームは前線と後方の2つに割れてしまった。ペルージャ戦で見られたプレーの方向性も、開幕戦では消えてなくなっていた。
リーグ再開後にミランを待ち受けている最初の試合は、インテルとの「デルビー」だが、これは非常に危険だ。夏の2回の対戦では、どちらもミランが勝利しているが、今回はこの結果がひっくり返り、インテルに大量得点が生まれるのではないか、というのが大方の予想である。
なぜなら――これが第3の問題なのだが――メルカートの終了間際にインテルは大量の補強を果たしたが、ミランはことごとく失敗してしまったからだ。
多くのミラニスタは、この件に対して大きな不満を持っている。彼らの脳裏にはいまだ、ジョフレー・コンドグビア争奪戦というピッチ外でのデルビーにミランが敗れたことが鮮明に残っているし、マテオ・コバチッチ獲得が失敗に終わったことも忘れられない(ミランにとっては最適の選手だった)。
また多くのミラニスタは、マリオ・バロテッリの帰還を、いまだ承服できずにいる。
いや、正確に言うならばバロテッリとクツカの2人の獲得に対してだろう。彼らの存在が、ウルトラスに再びメガホンを取らせ、昨シーズン後半になされていた強硬な抗議がまた始まってしまった。インターネットやSNSでも、長く非難が続いている。
ウルトラスは特に、ガッリアーニを槍玉に挙げている。彼らの目には、ガッリアーニこそが、メルカートで常に過ちを犯す元凶と映っているのだ。
ガッリアーニは、ズラタン・イブラヒモビッチの“代用品”として、全く使えないバロテッリをまたしても獲得し、友人であるジェノアのエンリコ・プレツィオージ会長からクツカを押し付けられた(ジェノアとミランはこれまで、多くの選手を互いに売り買いしている)――ウルトラスはこう考えている。
ミランのメルカートにおける新たなパラドックスは、これまでのレンタルや移籍金ゼロの選手に絞った補強から一転、9000万ユーロも使ったというのに、サポーターを満足させるような選手を獲得できなかったことにある。
もし、週末のデルビーで良い結果を得られなければ、わずか3節が終了しただけというのに、ミランにはあらゆる点において、警鐘が鳴らされることとなってしまう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
真のレジスタの補強がされなかったことと、ミハイロビッチがフィジカルに強い中盤を好むことから、中盤はゲームメイクの機能を果たせず、チームは前線と後方の2つに割れてしまった。ペルージャ戦で見られたプレーの方向性も、開幕戦では消えてなくなっていた。
リーグ再開後にミランを待ち受けている最初の試合は、インテルとの「デルビー」だが、これは非常に危険だ。夏の2回の対戦では、どちらもミランが勝利しているが、今回はこの結果がひっくり返り、インテルに大量得点が生まれるのではないか、というのが大方の予想である。
なぜなら――これが第3の問題なのだが――メルカートの終了間際にインテルは大量の補強を果たしたが、ミランはことごとく失敗してしまったからだ。
多くのミラニスタは、この件に対して大きな不満を持っている。彼らの脳裏にはいまだ、ジョフレー・コンドグビア争奪戦というピッチ外でのデルビーにミランが敗れたことが鮮明に残っているし、マテオ・コバチッチ獲得が失敗に終わったことも忘れられない(ミランにとっては最適の選手だった)。
また多くのミラニスタは、マリオ・バロテッリの帰還を、いまだ承服できずにいる。
いや、正確に言うならばバロテッリとクツカの2人の獲得に対してだろう。彼らの存在が、ウルトラスに再びメガホンを取らせ、昨シーズン後半になされていた強硬な抗議がまた始まってしまった。インターネットやSNSでも、長く非難が続いている。
ウルトラスは特に、ガッリアーニを槍玉に挙げている。彼らの目には、ガッリアーニこそが、メルカートで常に過ちを犯す元凶と映っているのだ。
ガッリアーニは、ズラタン・イブラヒモビッチの“代用品”として、全く使えないバロテッリをまたしても獲得し、友人であるジェノアのエンリコ・プレツィオージ会長からクツカを押し付けられた(ジェノアとミランはこれまで、多くの選手を互いに売り買いしている)――ウルトラスはこう考えている。
ミランのメルカートにおける新たなパラドックスは、これまでのレンタルや移籍金ゼロの選手に絞った補強から一転、9000万ユーロも使ったというのに、サポーターを満足させるような選手を獲得できなかったことにある。
もし、週末のデルビーで良い結果を得られなければ、わずか3節が終了しただけというのに、ミランにはあらゆる点において、警鐘が鳴らされることとなってしまう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。