戦況を見極めた正しい選択が、「無駄がなく、燃費も良いプレー」に直結。
心はしっかりと整えられている印象だ。あとはピッチで、その闘志をどう表現していくかである。
「自分にとってゴールはおまけみたいなもの」というコメントから察するに、今、長友がもっとも重視しているのはバランスではないだろうか。チームの状況、周囲との連係を含めて俯瞰的にピッチを見るスタンスは、次のコメントから窺える。
「カンボジア戦の前半は向こうのサイドハーフが(酒井)宏樹に付いていけてなくて、右サイドから崩せた。でも、相手が修正してきた後半は左のほうが空いていて、そこを突けた。試合の流れを読みながら、敵のシステムを観察しながら上手くやっていきたい」
単に“大人しい”のではないかもしれない。
戦況を見極めたうえで正しいプレーを選択しようとしているから、以前より無駄がなく、燃費良く、左サイドを激しく上下動できるのだろう。見た目以上に献身的に動いている事実は、「ベンチから見ていて運動量が豊富だと思った」という米倉のコメントからも分かる。
9月6日の全体練習(冒頭15分のみ公開)では、長友の言葉を鵜呑みにすれば「攻撃の部分、クロスやシュートの精度あたりを意識して練習しました」。
クロスを何度上げても効率良くゴールにつながらなかったカンボジア戦の反省を踏まえ、アフガニスタン戦でもサイドを意識した攻撃を展開するなら、大人になった長友は間違いなくキーマンのひとりになる。
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)