武藤に対しても「僕を囮にして、中に切り込んでシュートに行けと言っている」。
6月のイラク戦に続き、9月のカンボジア戦でもノーマルに近いパフォーマンス。アジアカップ以後の長友は、どこか大人しい。左サイドをえぐるようなドリブルは数える程度で、アグレッシブに欠けていた。しかし、本人に言わせればこうなる。
「僕は前の選手が気持ち良くプレーできるようにしたいと思っている。だから、例えば武藤にも、僕を囮にしてどんどん中に切り込んでシュートに行けと言っている。場合によっては、上がらないほうが良い時もあるし、そのあたりはもっとコミュニケーションしてやっていきたい」
とはいえ、カンボジア戦での3-0という結果にも、自身の出来にも満足をしているわけではない。
「ミーティングをして、カンボジア戦で出た課題を修正するトレーニングもできた。良くなるんじゃないかと思う。良くならないとダメですよね。一つひとつ成長していかないと」
そこまでプレーで主張しているわけではないが、ワールドカップに懸ける想いはひと一倍強いはずだ。1勝もできなかった昨年のブラジル大会ではメディアの前で泣き崩れるシーンがあり、今年1月のアジアカップではワールドカップ関連の質問に対して言葉を詰まらせたりもした。
またクラブシーンに目を向けても、インテル残留が決まるまで去就問題に揺れていた長友の心労は結構なものだっただろう(あくまで推測だが)。
ただ、ハリルホジッチ体制下ではミックスゾーンでも涼しい顔でしっかりと受け答えしている。そこに、ワールドカップへの秘めたる、静かなる闘志を感じるのだ。