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「俺は何しにきたんやろう」失意の3決豪州戦、何もできぬままピッチを去った中島大嘉。噛みしめた悔しさを成長の糧に【U-21代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2022年06月20日

「冷静になれていない場面も多かった」

無力さを思い知らされた一方で、濃密な時間を過ごしたのは間違いない。GS3戦目のタジキスタン戦で終了間際に決めたループシュートは見事だった。(C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

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 初めて背負う日の丸に胸を躍らせ、意気揚々とウズベキスタンの地に乗り込んできた男にとって、これほど悔しい経験はない。試合後の記念写真にもひとりだけ笑顔がなく、ミックスゾーンでもいつもの中島ではなかった。こんな表情の中島を見たのは、高校3年次、高校サッカー選手権の長崎県予選準決勝で敗れた試合以来で、この事実からも悔しさがうかがえる。

「俺はここに何しにきたんやろう」

 試合が終わっても心の整理がつかず、自責の念を抱く。何度も「悔しい」と話し、力不足を噛みしめるように言葉を紡いだ。

 今大会を振り返ってみれば、初めての代表で気負い過ぎたところもあったのだろう。

「チャンスやクロスのシーンでいつもなら待てているのに、気持ちが前に出過ぎて冷静になれていない場面も多かった」

 3位決定戦に限らず、今大会はゴールを決めたいという想いが強すぎるゆえに、自分を見失う場面は多かった。GSのタジキスタン戦。58分に途中出場し、数分後にはゴール前に走り込んでネットを揺らしたが、VARのオンフィールドレビューで判定が覆る。パスを待ち切れず、最終ラインより前で触ってしまったため、オフサイドとなってゴールが取り消された。そうしたプレーからも、気持ちが空回りしていたことがうかがえる。
 
 初の代表で気持ちが高揚していたのは間違いない。だが、誰もが一度は通る道だ。そうした経験を経て、日の丸を背負う意味や重みを知っていく。今はまだ蕾(つぼみ)の時期。ウズベキスタンで味わった悔しさを力に変え、再び国際舞台を戦えれば、また違う景色が見えてくる。

 188センチの高さとスピードを兼ね備え、ゴール前での迫力は唯一無二。世代別代表の経験がほとんどなく、パリ五輪世代のチームに参加したのも、今年の5月上旬の活動が初めてだったが、ストロングポイントが評価されたからこそ、大岩剛監督も今大会のメンバーに加えた。中島は初スタメンを飾った3位決定戦までの5試合ですべて途中出場している。指揮官も期待していなければ、そもそも全試合でピッチに立たせていないだろう。

 喪失感に襲われ、今まで築き上げてきた自信も一気に失ったかもしれない。精神面だけではなく、技術面も含めて課題を突きつけられ、自分の無力さを思い知らされた。だが、誰よりも濃密な時間を過ごしたのは間違いない。全6試合の総プレータイムは148分。得点は1。満足できる成績ではないだろう。ウズベキスタンでの悔しさを意味あるモノにすべく、中島は札幌の地で再スタートを切る。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

【関連動画】絶妙な抜け出しからループシュート! GS第3戦タジキスタン戦、中島大嘉が“ビューティフルゴール”で待望の大会初得点!
 
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