• トップ
  • ニュース一覧
  • 事故で急逝した元コロンビア代表リンコン。なぜブラジルで「この半世紀で最も愛された外国人選手」になりえたのか?【現地発】

事故で急逝した元コロンビア代表リンコン。なぜブラジルで「この半世紀で最も愛された外国人選手」になりえたのか?【現地発】

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2022年04月24日

ドラッグの密輸とマネーロンダリングの罪で有罪に

主将としてクラブW杯のトロフィーを掲げるコリンチャンス時代のリンコン。(C)Getty Images

画像を見る

 悲しみに包まれたのはコロンビアだけではない。

 彼はそのキャリアの大部分をブラジルで過ごし、ブラジルで活躍した最初のコロンビア人であり、最も愛されたコロンビア人、いや、この半世紀で最も愛された外国人選手でもあった。

 まずは94年に「インモータル(不死)」と呼ばれたパルメイラスで活躍。この時のチームはロベルト・カルロス、セザール・サンパイオ、マジーニョ、アントニオ・カルロス・ザーゴ、ジーニョ、エバイール、フラビオ・コンセイソンと錚々たるメンバーだったが、リンコンはレギュラーとして重用された。

 その後、ナポリ、レアル・マドリーとヨーロッパの強豪で2シーズンを過ごしたが、またパルメイラスに戻り、今度はカフー、リバウド、ルイゾンなどとプレーした。

 97年に移籍し、2000年までプレーしたコリンチャンス時代が、選手としてのキャリア最高の時期になった。ブラジル全国選手権で2度優勝し、なによりキャプテンとして最初のクラブワールドカップのトロフィーを掲げたのである。

 コリンチャンスのサポーターは一般庶民が多い。だから一度彼らのスターになれば、生涯にわたって愛してくれる。リンコンはまさに永遠のスターだった。彼はサントス、クルゼイロなど多くのブラジルの名門でプレーしたが、そのすべてのチームで愛されていた。
 
 引退後は監督となりブラジルの小さなチームをいくつか率いたのち、コリンチャンスのユースチームやアトレチコ・ミネイロのサブコーチなども務めた。ただ07年にドラッグの密輸とマネーロンダリングの罪で有罪判決を受けた。彼自身は関与を否定していたが、それが唯一の汚点であった。

 その後はコロンビアでTVのコメンテーターを務め、代表戦やEUROなどの解説をしていた。歯に衣を着せず、チーム批判も恐れない彼の態度は時に物議も醸し出したが、愛されてもいた。
 
 彼が亡くなった日、ブラジルではウクライナやコロナのニュースよりも大きく報じられた。

 サンパウロ州のすべてのチームはSNSやホームページなどで哀悼の意を表した。彼が所属していたコリンチャンスはリンコンのことを「我らがキャプテン」と呼び、クラブのトロフィールームを「リンコンの間」と変更することを検討中だ。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
【関連記事】
「スウェーデンより進んでいる」浦和MFモーベルグが日本で受けた“衝撃”を母国紙に語る!「とても気に入っている」と称賛したのは?
前代未聞の蛮行!激昂したブラジル人監督が女性副審の顔面に頭突き→暴力を否定も即日解雇「ウソだ、彼女は女であることを利用している」
「30歳で年金リーグは悲しい」W杯を逃したコロンビア、10番ハメスを母国の英雄アスプリージャが糾弾!「もうトップクラスには戻れない」
「この悪魔と一緒に暮らせるのか?」ウクライナ代表ジンチェンコの妻が、ロシア兵の略奪と戦利品として受け取る嫁たちを糾弾「子供から奪った物でも…」
「民間人から盗んだ物を戦利品というのか」ロシア兵が略奪したウクライナ代表グッズをネット販売。同国サッカー協会が怒り、批判が殺到「なんと卑劣な」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ