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事故で急逝した元コロンビア代表リンコン。なぜブラジルで「この半世紀で最も愛された外国人選手」になりえたのか?【現地発】

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2022年04月24日

車を運転中に回送バスと衝突

コロンビア代表で3度のW杯に出場したリンコン。(C)Getty Images

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 先日、フレディ・リンコンが55歳で亡くなった。コロンビアではそのショックがいまだに広がっている。

 4月11日の午前5時、コロンビアのカリでリンコンの乗る車が営業前の回送バスと衝突。リンコン側の赤信号無視が原因と言われている。助手席に乗っていたリンコンは外傷性脳挫傷を負い、同乗していた女性二人は軽傷だった。彼はすぐに病院に搬送され、3時間近くの手術も施されたがそのまま目覚めることなく4月13日に帰らぬ人となった。

 コロンビアはこの偉大な英雄の死に国中が動きを止めた。特にカタール・ワールド出場を逃したコロンビアにとって、リンコンが活躍していた時代が郷愁と共に思い出され、彼の存在をより大きくしている。

【画像】凄惨な事故現場…リンコンが運転していた車とバスの前方が大破
 リンコンが代表でプレーしていたのは、コロンビアのまさに黄金世代であり、スター選手が数多くいた。ファウスティーノ・アスプリージャ、カルロス・バルデラマ、レネ・イギータ……。彼らはストライカー、10番、GKと目立つポジションだったが、リンコンはボランチ。派手さはなかったが、不可欠な存在だった。

 190センチの長身を活かし、守備も得点もできる選手だった。1990年のイタリアW杯ではグループステージの重要な西ドイツ戦で、終了2分前に劇的な同点ゴールを決め、コロンビアを決勝トーナメントへと導いた。

 94年のアメリカW杯予選ではアルゼンチンをホームで5-0と下した歴史に残る一戦で2ゴール。この衝撃の結果に誰もが驚き、コロンビアは一躍大会ダークホースと騒がれるようになった。

 出身地のブエナベントゥーラでは、リンコンのための大きな祭壇が設けられ、約100万人が弔問に訪れたという。その中にはかつての同僚だった選手たちも混ざっており、コロンビアのすべてのチャンネルはその様子を生中継した。一人のサッカー選手の死を、国を挙げて悼むのは、94年W杯のオウンゴールが原因で射殺されたエスコバル以来である。

 コロンビア・サッカー協会は「我々は彼を大きな愛情と感謝と尊敬、そして称賛の念をもって記憶します」とのコメントを出し、彼の死を悼んだ。
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