どの映像を見せれば良いのか?現役レフェリーが語るテクノロジーの進化とVAR導入【審判員インタビュー|第2回・村上伸次】

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年11月23日

VARで最初に大変だと感じたのは『どの映像をレフェリーに見せるか』

コロナ禍で一時導入が見送られていたVARだったが、今季のJ1リーグやルヴァンカップなどで運用されている。(C)SOCCER DIGEST

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――そのテクニックはすぐに掴めましたか?

「コミュニケーションシステムが導入された2、3か月はすごく違和感ありました。たとえば、審判団からの情報が『その情報いらないな』と気になったり。でも、それはシグナルビープの時も同じです。今まで付けていなかったので腕に違和感もあるし、ブーって振動が来ると普通に驚きますよね(笑)コミュニケーションシステムも似たような感覚があって、慣れれば気になりません」

――追加副審はどうでしたか?より多くの情報がコミュニケーションシステムを介してレフェリーには集まります。

「追加副審は、導入前にすごく良い研修会を行なえました。追加副審の情報をレフェリーはどのように感じるのか? では、そう感じるのであれば、追加副審はどのようなタイミングでどのように情報を伝えるのか? それをプラクティカルトレーニング(審判員が行なう実践的なトレーニング)で勉強出来ました。整理された状態でのスタートだったので、混乱は少なかったはずです。

 追加副審に多くの情報を要求するレフェリーの場合は、『このエリアは誰が見る?』『こういった部分まで全部教える?』などの事前打ち合わせですり合わせていきます」
 
――そういった経験があったからこそ、今季、レフェリーはVAR導入試合にアジャストできたのかもしれないですね。むしろ、レフェリーからVAR担当になった方が大変に感じます。

「そうですね。VARが助言する事象のチェックについて、多くの研修会を行ないましたが、最初に大変だなと感じたのは『どの映像をレフェリーに見せるか』ということです。VAR時に映像を見返しすぎてしまうと、プロトコルである『ほとんど全ての人が、その判定は明らかに間違っている、はっきりとした明白な間違い』なのかが頭から飛んでしまう。つまり、ファウルを探しに行ってしまうのです。そこに、日本人気質の『間違えてはいけない』というのも加わると、多くに介入することになってしまいます。

 なので、映像を見て自分が悩んだ時には、まず原点に戻ることを考えます。『本当に10人中、10人が間違いと言うのか、それとも7人なのか』と問いかけることをVARの時は頭に置いています。VARは、あくまでも補助であって、間違い探しではありません。

 例えばチーム、選手、お客さんは、白黒はっきり付けたいと思っているのだろうなと感じる時があります。ですが、そこに我々レフェリーが乗っかってしまうと、VARを導入した意味『10人中、9人が間違いと思うような翌日のヘッドラインになるような誤審を防ぐ』からブレてしまいますよね。そういった様々なことを考えながらVARは担当するので、頭がすごく疲れます」
 
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