なぜ五輪に強かったアルゼンチンは、早々に東京を去ったのか【東京五輪】

カテゴリ:メガクラブ

リカルド・セティオン

2021年08月10日

2大クラブが招集を拒否

グループステージ敗退決定にうなだれるガイチ(右)。この主砲も無得点に終わった。(C)Getty Images

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 オリンピックのサッカーにおいて、アルゼンチンの実績はトップクラスだ。2大会連続で金メダルを勝ち取っているのは、後にも先にもこの国だけ(2004年アテネ、2008年北京)。多くのA代表のスターたちもここから巣立っていった。

 しかし、ここ最近は何かがうまくいっていないようだ。前回のリオ五輪に続き、東京五輪でもグループステージで早々に姿を消してしまった。しかも、その内容はこの60年間の中でも最低だったとも言われている。

 決して強豪国に敗れたわけではない。スペインは確かに強敵だが、あとはオーストラリアとエジプト。グループ最下位となった前者との直接対決にも敗れた。2位通過した後者には、世界的に知られている選手など一人もいなかった。

「アルゼンチン・サッカー協会はオリンピックに全く重きを置かなくなってしまった」

 同国のサッカー関係者の多くは口をそろえてそういう。特に今年はコパ・アメリカがあり、すべての関心はA代表にのみ注がれていた。なぜなら今回のコパは特別だったからだ。リオネル・メッシが代表で、無冠で終わるかどうかを懸けた大会だった。カタール・ワールドカップで優勝するのは至難の業だ。それならタイトルを取りやすい今回のコパに、全力を注ごうということになったのだ。実際、その目論見は成功し、メッシは代表における初のタイトルを手に入れた。

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 その空気はクラブチームにも伝わる。アルゼンチンの2大クラブ、リーベルとボカは、所属選手のオリンピック参加を認めないことを決定した。フェルナンド・バティスタ監督はこの両チームからも多くの選手を招集する予定だっただけに、これは大きな痛手だった。

 例えばボカのCBカルロス・イスキエルドス。彼はオーバーエイジ枠としてこのオリンピックチームの中心となるはずだったが、ボカはそれを拒否した。オリンピックはFIFAの管轄下にない。そのためクラブチームには選手を派遣する義務はないのだ。結局、OAはGKのヘレミアス・レデスマのみの招集となった。

 バティスタ監督はインテルのラウタロ・マルティネスとレバークーゼンのエセキエル・パラシオスも招集したがっていたが、インテルはコパ・アメリカかオリンピック、どちらかの片方の参加しか許可しなかった。結局、A代表のリオネル・スカローニの要望で、コパ・アメリカでプレーさせることが決まった。

 またパラシオスは大会前に負傷し、オリンピックに参加できなかった。アルゼンチンは他の選手を探したが、それも間に合わなかった。

 ブラジルでも同じような問題は持ち上がったものの、最終的にはダニエウ・アウベス(サンパウロ)やリシャルリソン(エバートン)の参加が認められた。後者は5ゴールを決めて、得点王に輝いている。

 もちろん敗退の理由はそれだけではない。バティスタ監督の采配にも疑問が残る。3試合目のスペイン戦、アルゼンチンが決勝トーナメントに駒を進めるには、アルゼンチンは勝利が必須条件だった。しかし、守備的な戦いに終始し、なかなか敵のゴール前へボールを運べない。結局、GKのレデスマが好セーブを連発し、終盤のゴールで1―1に追い付いたが、ドローに持ち込むのがやっとだった。
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