名手・福森のPKをストップ!「正直、無心だった」
PK戦にもつれ込んだ一戦は互いに譲らず、4本目まで全員がしっかりと成功した。
札幌の5人目はキックの名手・福森晃斗。これまでセットプレーから数々のファインゴールを生み出しているレフティと朴一圭が正対する。「正直、無心だった。その前の4本は考え過ぎてダメだったので、特に何も考えていなかった」というスタンスで臨んだ。
無意識のうちに助走と踏み込む足の角度を確認し、若干ながらコースが甘かったシュートにしっかり反応。横浜を準決勝に導くファインセーブを成功させ、大きなガッツポーズを繰り出した。
途中出場で殊勲の同点ゴールを挙げた天野は胸を張って言う。
「パギくん(朴一圭)に絶大な信頼がある。パギくんなら止めてくれるという思いがあった。自分たちがしっかり決めれば止めてくれると思っていた」
昨年から加入し、春先には飯倉からポジションを奪い、そのままの勢いで15年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。今シーズンは押しも押されもせぬ守護神となって迎えた横浜2年目だった。
しかし、ここまでは苦難の連続だった。開幕戦のG大阪戦では自身のミスから失点し、常に丁寧にメディア対応する男がミックスゾーンを無言で通り抜けた。のちに「自分に腹が立った」と振り返る痛恨のエラーを挽回するための日々が始まったが、Jリーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断を余儀なくされ、朴のリベンジの機会は先送りとなった。
自粛期間が解け、ようやくリーグ戦再開の日程が決まった。だが今度は練習中に右手を骨折。全治2か月の負傷で戦線を離脱した。出番を新加入の梶川に譲り、自身はスタンドからチームを見守ることしかできなかった。
札幌の5人目はキックの名手・福森晃斗。これまでセットプレーから数々のファインゴールを生み出しているレフティと朴一圭が正対する。「正直、無心だった。その前の4本は考え過ぎてダメだったので、特に何も考えていなかった」というスタンスで臨んだ。
無意識のうちに助走と踏み込む足の角度を確認し、若干ながらコースが甘かったシュートにしっかり反応。横浜を準決勝に導くファインセーブを成功させ、大きなガッツポーズを繰り出した。
途中出場で殊勲の同点ゴールを挙げた天野は胸を張って言う。
「パギくん(朴一圭)に絶大な信頼がある。パギくんなら止めてくれるという思いがあった。自分たちがしっかり決めれば止めてくれると思っていた」
昨年から加入し、春先には飯倉からポジションを奪い、そのままの勢いで15年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。今シーズンは押しも押されもせぬ守護神となって迎えた横浜2年目だった。
しかし、ここまでは苦難の連続だった。開幕戦のG大阪戦では自身のミスから失点し、常に丁寧にメディア対応する男がミックスゾーンを無言で通り抜けた。のちに「自分に腹が立った」と振り返る痛恨のエラーを挽回するための日々が始まったが、Jリーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断を余儀なくされ、朴のリベンジの機会は先送りとなった。
自粛期間が解け、ようやくリーグ戦再開の日程が決まった。だが今度は練習中に右手を骨折。全治2か月の負傷で戦線を離脱した。出番を新加入の梶川に譲り、自身はスタンドからチームを見守ることしかできなかった。
8月1日の仙台戦で復帰を果たすと、持ち前の守備範囲の広さを生かしてハイラインディフェンスの背後のスペースを埋めていく。チームに安心をもたらす背番号1の存在感は絶大。天野の言葉は決してお世辞ではなく、横浜の最後尾には朴が欠かせない。それを自身のパフォーマンスで示している。
飽くなき向上心と誰よりも大きな野心が最大の武器だ。手応えはあっても、満足はない。だから試合前日でも最後まで居残り練習しなければ気がすまない性分だ。
順風満帆ではなかった時間が朴をさらに強くする。札幌を破り、準決勝に進出した。それは公式戦の連戦が19試合に伸びたことも意味する。
これからもゴールマウスに立ち続ける。そして「苦しい時に力を出せる選手になりたい」と視線をまっすぐに向ける。横浜がタイトルを積み重ねるためのキーパーソンとなるだろう。
取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)