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【安永聡太郎】バルサはキケ・セティエン体制でCLを獲れるのか?戴冠には「メッシ+10人」の戦術的解決法が必要だ

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年07月05日

CL未経験の監督を選んだのはなぜか?

今年1月に就任したキケ・セティエン監督は難しい舵取りを迫られている。(C) Getty Images

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 今シーズンもバルセロナは、レアル・マドリーと熾烈な首位争いをしてきました。しかし、チームとして安定した戦いができているのか? そう問われると答えに詰まりますし、非常に厳しい戦いを強いられています。

 シーズン途中からキケ・セティエンが監督に就任しましたが、僕はその人選に対して疑問を持っています。

 なぜなら彼を連れてきた理由は、おそらくチャンピオンズ・リーグ(CL)を獲るためだからです。しかし、キケ・セティエンはCL未経験の監督です。リーガを優勝するだけなら前任者のエルネスト・バルベルデでも良かったわけですが、フロントはそれを良しとはしない判断を下しました。それなのにキケ・セティエンを選んだわけです。

 おそらくバルベルデが解任された大きな原因は、2年連続で、CLで同じような形で去る結果になってしまったことです。スーペル・コパの準決勝もアトレティコ・マドリーに負け、昨シーズンのコパ・デル・レイの決勝もバレンシアに敗れています。それが「トーナメントに弱い=勝負弱いのではないか」「これ以上の上積みは期待できないのではないか」というイメージを、フロントをはじめ、ファンにも植え付けてしまう結果になってしまいました。

「キケ・セティエンに何を求めているのか?」

 ここが僕には不透明に見えます。たとえば、ボールを保持することに原点回帰したかったのなら前監督のバルデルベでも十分できたはずです。しかし、たぶんポゼッションだけならできるだろうけど、クラブとして目標を達成するために「メッシがいて、バルサがこの勝ち方でいいのか?」という議論がつきまとったはずです。
 
 現在のバルサの監督にとって宿命みたいなものですが、最終的には「これでCLを獲れるんですか?」という問いに行き着くので、そこからの逆算で監督選びが進みます。

 ある意味、バルサのような世界的名門クラブにとってリーグタイトル争いはノルマに近い。これを最低ラインに、クラブとして思い描くポジショナルプレーを戦略的にチームに落とし込み、戦術的にポゼッションプレーを表現させられる監督は誰なのか。そう考えたときに、シーズン途中の少ない選択肢の中でキケ・セティエンしかなかったのが本音ではないかと。

 もちろん20年前のバルサなら、キケ・セティエンを監督にしても大部分が納得できたと思います。もっと具体的に言うと、ペップ(グアルディオラ)が監督を務める前だったらOKだったと。しかし、2008~2012年にペップはこのクラブで最高の試合とともに驚異的な数のタイトルをもたらし、選手にもファンにも最高の料理としてその味を振る舞ってしまっているのです。

 だから、その基準で「ボール保持率だけが高いキケ・セティエンを選んだ」フロントに対して、僕は疑問符を投げかけています。

 彼がラス・パラマスやベティスで表現したポゼッション率を重視したポジショナルプレーは、本当にすばらしいものでした。それがあったからバルサのフロント陣もキケ・セティエンを選んだことは間違いない。しかし、それはピッチ内での話ですし、スペインの中小クラブでの実績です。

 この世界有数の名門クラブでは、すべての言動や行動が注目され、ピッチ外も含めてあらゆる部分でのマネジメント能力が要求されます。そういう総合的な観点でいうと、僕は「キケ・セティエンがメッシを最大限に生かし、チームをCLタイトルへと導くにはまだ現状難しい」と考えています。
 
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