“フラット3の申し子”を襲った悲運…森岡隆三が日韓W杯で抱いた苦悩と感謝【日本代表キャプテンの系譜】

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年05月18日

『日本代表キャプテンの系譜』vol.2 森岡隆三|指揮官にも物怖じしない勇敢さを備えた人物

日韓W杯の初戦・ベルギー戦のスターティングイレブン。森岡(4番)は主将としてピッチに立った。(C) Getty Images

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 98年フランス大会から6度のワールドカップに出場している日本代表。チーム状態も結果も大会ごとに異なるが、全世界が注目し、プレッシャーのかかる大会でチームを力強くけん引したのがキャプテンの存在だ。井原正巳(柏ヘッドコーチ)をはじめ、森岡隆三(解説者)、宮本恒靖(ガンバ大阪監督)、長谷部誠(フランクフルト)と過去4人が大役を務めているが、それぞれ困難や苦境に直面し、自分なりのアプローチで解決策を見出してきた。それぞれのチームにおける歴代キャプテンのスタンスや哲学、考え方をここで今一度、振り返っておきたい。

――◆――◆――

 真っ青に染まった埼玉スタジアム。そしてかつてないほどの異様な熱気と興奮……。2002年6月4日。日本代表にとって2度目のワールドカップが幕を開けようとしていた。

 3戦全敗の屈辱を味わった98年フランス大会から4年。フィリップ・トルシエ監督率いる日本は、若くフレッシュな集団に変貌を遂げていた。98年経験者は23人中わずか8人。半数以上が2000年シドニー五輪を経験した25歳以下のメンバーだった。

「キャプテンは自分だ」と口癖のように語っていた指揮官は特定のキャプテンを決めずにここまで来たが、ベルギーとの大一番では森岡隆三(解説者)に黄色のマークを託した。彼は2度目のアジア制覇を成し遂げた2000年アジアカップ(レバノン)、フランスに善戦した2001年コンフェデレーションズカップ日韓大会の決勝でも主将を務めた実績があり、エキセントリックなフランス人監督にも物怖じせずに意見をぶつけられる勇敢さを備えていたからだ。

 名波浩(解説者)も「当時、トルシエと隆三はうまくいっていなかった。キャプテンとして選手の意見を吸い上げて主張していたしね」と冗談交じりに語ったことがあるが、気難しい監督と真っ向から議論するのは難易度の高いこと。それでも自らの考えを曲げず、しっかりと口にできる森岡だからこそ、大舞台のリーダーに相応しいと認められたのだ。

 最年長・34歳の中山雅史(沼津)から最年少・22歳の市川大祐(清水アカデミーコーチ)の中間に位置する彼は、チームバランスを考えても理想的な統率役でもあった。同年代には川口能活(JFAアスリート委員長)や中田英寿、松田直樹のような個性の強い面々が揃っていたが、彼らに対してもフラットに接することができた。その人間力もチームにとって欠かせないポイントとなったはずだ。
 

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