【番記者コラム】クラブを変えた出来事――名古屋グランパスを真の勝者へ導いた“闘将”

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2020年04月23日

悲願のJ1制覇へ切り札となった男が…

2010年に悲願のリーグ優勝を果たした名古屋。多くのタレントの力を活かした。(C)SOCCER DIGEST

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 あれから10年の月日が経とうとしている。Jリーグ創設から17年間、オリジナル10として戦い続けてきた名古屋グランパスの悲願とも言えたリーグ優勝の栄冠を手にしたのは2010年のことだ。

 それまでは“Jリーグのお荷物”“中位力”などクラブ規模の大きさになかなか結果が伴わないシーズンを過ごしてきたチームが、ついに頂点に立ち、真の意味での強豪の仲間入りを果たした。その後の10年では紆余曲折もあったが、あの優勝があったからこそグランパスは今なおビッグクラブの偉容を保てていると言える。自らの力を証明し、次の時代を切り拓いたそのきっかけという意味で、名古屋にとってこれ以上のエポックメイキングな出来事はなかったと言えるだろう。

 だが、リーグタイトルを勝ち取る仕事は一筋縄ではいかなかったのも事実だ。チームのレジェンドのひとり、ドラガン・ストイコビッチを監督に据え、2008年からチームは生まれ変わったように勝ち出した。初年度はいきなりリーグ3位に躍進し、最終節まで優勝の可能性を残してもいた。

 翌09年は前年の成績で勝ち取ったACLに初出場し、ここでもいきなりベスト4に進出。ターンオーバーを含むチームマネジメントだけでなく、試合運営の面などでも多くの経験を得た名古屋は様々な面で成長したが、肝心のリーグ戦は9位とふるわず、天皇杯も決勝で惨敗。勝てるチームにはなっていたが、タイトルを手にする“何か”がまだ足りていなかった。

師弟関係を築いた闘莉王とストイコビッチ監督。J1制覇の原動力だった。(C)SOCCER DIGEST

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 そこで切り札としてやってきたのが田中マルクス闘莉王だった。08年はチーム戦術を一新し、ストイコビッチ監督自らが玉田圭司の再生に着手。新人王にも輝いた小川佳純ら若手の成長でチーム力を蓄えた。

 09年はダヴィ、田中隼磨を補強し、夏に移籍したダヴィの穴埋めにオーストラリア代表FWジョシュア・ケネディを獲得。夏には三都主アレサンドロも加えて戦力を大幅に拡充していたが、それでも届かないリーグ優勝へ向け、チームはさらなる大型補強に動いたのだった。同じタイミングで移籍してきたダニルソン(期限付き)や金崎夢生らも強力だったが、闘莉王の存在感とピッチ内外での影響力には敵わない。
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