• トップ
  • ニュース一覧
  • チームを救えるのは“我の強い”選手。従順なプレーヤーだけでは戦えない【小宮良之の日本サッカー兵法書】

チームを救えるのは“我の強い”選手。従順なプレーヤーだけでは戦えない【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2020年03月03日

“空気を読まず”に戦える選手が必要

技巧派揃いのバルサでは異質な存在ながら、ビダルがもたらしているものは少なくない。(C)Getty Images

画像を見る

「冷静沈着な選手も悪くない。しかし結局のところ、失敗を恐れず、前に出てくれる選手が、指揮官にとっては貴重なんだ」

 デポルティボ・ラ・コルーニャで欧州サッカー界を席巻した名将、ハビエル・イルレタ監督がそう話していたことがあった。

 チームマネジメントにおいて、士気を高めるには、勇んで戦える選手が欠かせない。勝負どころで、組織というのは怖気づいてしまう側面を持っている。失うこと、失敗することへの恐怖というのか。戦いが縮こまってしまい、相手に篭絡され、それによって、さらに焦り、本当に自信を失ってしまう。その最悪の事態を回避するには――。

 少々は乱暴でも前に向かって、“空気を読まず”に戦える選手が必要なのだ。
 
 1999-2000シーズン、イルレタ・デポルはラ・リーガで優勝している。ガリシアの地方クラブとして、当時は快挙だった。その後、彼らは「ユーロ・デポル」という異名を取って、欧州も席巻した。

 当時、チームの中心だったのは、ブラジル代表MFジャウミーニャだった。奔放なファンタジスタで、アウトサイドやヒールを使ったプレーは神業的。ボールマジシャンという異名通り、技術とひらめきが融合したようなプレーは傑出していた。

 一方、ジャウミーニャはイルレタと衝突することもしばしばだった。

 石橋を叩いて渡る戦い方をするイルレタにとって、ブラジル人MFは自由過ぎる存在だった。守備のタスクをどこまで背負わせるのか。イルレタはリスクヘッジを考え、起用法で折り合わず。

 しかし、そのイルレタが最も頼りにしたのは、ジャウミーニャだった。矛盾しているかもしれないが、苦しい時に輝ける選手を欲した。チームを助けられるのは、我の強い選手なのだ。

 結局、ジャウミーニャは自ら退団している。2002年にイルレタと直接的に対立。(次のシーズンに戻ってきたが)二人の関係は、長く続かなかった。しかし、もしイルレタとジャウミーニャがともに戦うことがなかったら、リーグ制覇はできていなかったし、欧州で旋風を巻き起こすこともなかっただろう。
 
【関連記事】
クラシコで出番なしに怒り? マドリー歓喜の集合写真にベイルが加わらず!一人そそくさと帰宅
「無視」から「相棒」へ――メッシの信頼を掴んだグリエーズマンはクラシコで輝けるか?【現地発】
「マドリーは最悪だった」「怒っている」クラシコに敗れたピケが悔しさを露わ…“舌戦相手”S・ラモスの見解は?
「主審から守られてなかったクボを…」マジョルカのベテランMFが久保建英を“かばって”退場に! 一体何が?
戦術は平凡でも…ジダンに見る名将の「3つの条件」【小宮良之の日本サッカー兵法書】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ