レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第52回・ロイ・キーン(元マンチェスター・U & アイルランド代表)

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ワールド

2019年09月05日

あっという間にトップレベルに昇り詰めた闘将

マンチェスター・Uでは「ブライアン・ロブソンの後継者」と呼ばれて期待されたキーンは、レジェンドを大きく上回る実績を残し、同クラブだけでなく、サッカーの歴史においても、その名を残した。 (C) Getty Images

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 本誌ワールドサッカーダイジェストと大人気サッカーアプリゲーム・ポケサカとのコラボで毎月お送りしている「レジェンドの言魂」では、サッカー史を彩った偉大なるスーパースターが、自身の栄光に満ちたキャリアを回想しながら、現在のサッカー界にも貴重なアドバイスと激励を送っている。

 さて今回、サッカーダイジェストWebに登場するのは、中盤において攻守両面で絶大な存在感を示し、マンチェスター・ユナイテッドの黄金時代創成に大貢献したアイルランドの闘将、ロイ・キーンだ。

 ファイティングスピリットに溢れ、秀でたリーダーシップでチームを牽引しながら、効果的なプレーで決定的な仕事も果たし続けた偉人の軌跡を、ここで振り返ってみよう。

――◇――◇――

 ロイ・モーリス・キーンは1971年8月10日、アイルランド共和国第2の都市であるコークで誕生。スポーツに熱心な労働者階級の家庭で育った彼は、早くからサッカーに興じる。9歳からはボクシングでも非凡さを見せたが、母国のスター選手であるリアム・ブレイディに憧れる少年は、間もなくしてサッカー1本に絞る決意を下した。

 身体の小さかった彼は、多くのクラブのセレクションを受けるもことごとく不合格となり、セミプロクラブのコーブ・ランブラーズの入団を許されたのは、89年になってからだった。

 スタートラインに立つのは遅かったものの、ここからの歩みは凄まじく、すぐにユースチームで不動のレギュラーになると、早くもトップチームに昇格。同じ週に2つのカテゴリーのリーグに出場しながら、その名をアイルランド、さらには英国中にも広めていった。

 1年後には、名将ブライアン・クラフに見初められ、イングランド・リーグのノッティンガム・フォレストに移籍。かつて欧州制覇も果たした古豪で、当初はリザーブチームで経験を積む予定だったが、驚くべき適応力を見せてトップチームに定着し、リーグ35試合に出場、8ゴールを挙げてみせ、リーグの最優秀若手選手にも選出された。

 パワフルかつ闘争心溢れるプレーを身上とする彼は、中盤を所狭しと走り回り、読みの良さとハードタックルで相手の攻撃の芽を摘み続ける。さらに正確な縦パスでチャンスを作ったと思えば、驚異的なスタミナを発揮してベストなタイミングで前線に上がり、自らゴールを決めるなど、そのプレーの幅は非常に広かった。

 ノッティンガムでは、失点に繋がる致命的なミスを犯して鉄拳制裁を食らうこともあったが、クラフ監督からの信頼は厚く、キーンもこれに応えて、1年目の90-91シーズンにはFAカップ、翌シーズンはリーグカップでチームの決勝進出に貢献した(いずれも敗北)。

 3年目、プレミアリーグ元年にノッティンガムは2部降格の憂き目に遭う。その一方でキーンはリーグ40試合に出場し、その価値をますます高めて注目銘柄に。当初はブラックバーン・ローバーズ移籍が確定していたが、アレックス・ファーガソン監督から直々にオファーを受けて翻意、プレミア初代王者のマンチェスター・ユナイテッド入りが決まった。

 当時の最高移籍金額だった375万ポンドで「赤い悪魔」の一員となったキーンは、彼の憧れの存在のひとりであり、クラブのレジェンドでもあるブライアン・ロブソンらベテラン勢を抑え、いきなり中盤のレギュラーとなる。

加入初年度、いきなりアーセナルをPK戦の末に下してチャリティーシールド(現コミュニティーシールド)を制し、初タイトルの喜びを味わうと、シーズンではリーグ、FA杯の二冠を達成した。

これを皮切りにキーンは、黄金時代に突入したマンチェスター・Uにおいて、13年間の在籍期間でリーグ7回、FAカップ4回、チャンピオンズ・リーグ(CL)1回を含む、計17個のトロフィーを獲得することとなる。

 なかでも、98-99シーズンは国内外のメジャータイトルを独占。イングランド・サッカー史上初の「トレブル(三冠)」という大偉業を達成するという、マンチェスター・Uにとっては輝かししいシーズンとなった。

 しかしキーンは、CLでは累積警告のために、バイエルンとの決勝には出場できず、試合終了間際の2ゴールで劇的な逆転勝利を飾った「カンプ・ノウの奇跡」を、スタンドで見届けることに。もっとも、チームは後半アディショナルタイムまでバイエルンにリードを許すなど大いに苦しみ、かえってキーンの存在感と重要性を際立たせることにもなった。

 プレーだけでなく、その旺盛な闘争心とリーダーシップを有していた彼は、97年のエリック・カントナの現役引退を受け、キャプテンに就任。若い選手たちを時に震え上がらせながらも、間違いなくチームに好影響をもたらし、勝利に導き続けた。

 激しい性格で、歯に衣着せぬ物言いから、自ら多くの対立関係を作ることはあったものの、キャリアの大部分で共闘したファーガソン監督からは「世界最高のMFであると同時に、クラブの輝かしい歴史に名を残す偉大な選手だ」と称賛されたように、味方にすれば、これほど頼りがいのある存在も他にはなかったと言えよう。
 
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