慣れない3-4-3で中盤にデッドスペースが…
ボタンを掛け違えている。そのことに気付いているかいないかは、よくわからない。掛け違えではないのかもしれないが、少なくともリードを守りきり、あわよくば追加点をと戦った湘南ベルマーレを打ち崩せなかったのだから、得点がその象徴となるチームとしては面目丸潰れである。哲学と戦い方、その出発点を決して変えない風間八宏監督は何か変化が欲しい時には決まって選手や布陣を変えて11人の目線を変える。最近は、そしてこの日は特に、その手法にちょっとした誤差が生じているように見えて仕方がなかった。
直前まで丸山祐市の出場可否が見えなかったチームは仕切り直しの一戦に向け、公開された練習では3-5-2の布陣をテストしていた。宮原和也と中谷進之介、そして吉田豊の3バックに加え、エドゥアルド・ネットとジョアン・シミッチのボランチ、左右のワイドポジションには前田直輝と和泉竜司、相馬勇紀の3人を試し、トップ下に米本拓司と長谷川アーリアジャスールを競合させ、2トップはジョーとガブリエル・シャビエルが不動だった。その形を非公開練習に入った2日間で3-4-3に変え、間に合った丸山を3バックに組み込み、結果として宮原が右ワイドに配置転換した。
直前まで丸山祐市の出場可否が見えなかったチームは仕切り直しの一戦に向け、公開された練習では3-5-2の布陣をテストしていた。宮原和也と中谷進之介、そして吉田豊の3バックに加え、エドゥアルド・ネットとジョアン・シミッチのボランチ、左右のワイドポジションには前田直輝と和泉竜司、相馬勇紀の3人を試し、トップ下に米本拓司と長谷川アーリアジャスールを競合させ、2トップはジョーとガブリエル・シャビエルが不動だった。その形を非公開練習に入った2日間で3-4-3に変え、間に合った丸山を3バックに組み込み、結果として宮原が右ワイドに配置転換した。
この変更から分かるのはチームの中に、欠かせない戦力の順列があることである。宮原に代えて丸山ではなく、丸山が入って宮原が右へ、右にいた前田はそのまま一列上がり、結果としてトップ下のポジションがなくなった。当初、トップ下には守備での役割も与えられ、前線からのディフェンスを少しでも復活させようという狙いもあったはずが、選手の揃い方でその狙い目もどこかに行った。
結果として不慣れな戦い方と不慣れな組み合わせを正味2回のトレーニングで本番に持ってきた名古屋グランパスは、開始3分で起きた丸山の負傷(交代時間は9分)によっていきなりプランが崩れる。しかも丸山が治療している混乱に乗じて湘南は先制点を決め、試合展開自体も苦手な追いかける展開になってしまった。
「このところの勝てていない試合は追いかける展開ばかり。それはやっぱりハードなものだよ」
ランゲラックはそう言って顔をしかめ、失点の場面を「深く下がりすぎてしまったと思う」と守備組織の乱れを指摘している。先制からはまだ85分間も時間が残されていたが、期待されたE・ネットとJ・シミッチのコンビはともに下がってボールを受ける傾向が強く、3トップと4人の中盤の間には大きなデッドスペースが広がることにもなった。サイドを駆け上がる人数は多くとも、得意の中央突破を仕掛ける数は少なく、湘南の堅い守りの前にG・シャビエルでさえジョーへのシンプルなクロスやフィードを狙ってばかりいた。それは一定の威力を発揮したが、普段から練習を重ねている形ではない。ボールの落下点には湘南の選手が先んじていることがほとんどで、湘南の選手しかいない場合も多々あった。