刀は、熱した鉄を何度も槌で打ち叩いて作られる。折り返しながら繰り返し叩くことで粘りを持たせて強く鍛えるのだ。この作業が「鍛錬」である。そして、とりわけ鍛錬された刀が、「名刀」となり得る。
セレッソ大阪に特別指定で登録されている“超高校級”FW西川潤は、やはり名刀となり得る逸材だ。鉄は熱いうちに打てと言うが、西川の「鍛錬」のスピードは尋常ではない。4月13日の北海道コンサドーレ札幌戦で改めて、その凄みを垣間見せた。
出番は急に訪れた。セットプレーから失点を喫した約4分後の84分、ロティーナ監督が声をかけたのが、2002年生まれで17歳の西川だった。
西川はこの日、リーグ戦で2度目のベンチ入りを果たしていた。しかし、特に監督から事前に起用されることを聞いてはいなかったという。
「特に事前に伝えられていませんでした。ただ、思い切って、このチームを引き分け、そして逆転に持って行けるような、流れを変えるようなプレーをしていこうと思って入りました」