戦術的に優れているとは?
サッカーは大局を動かす戦略と、局面を左右する戦術によって成り立っている。
戦略を動かすには、クラブフロント、さらには現場のリーダーである監督の力が大きく物を言う。戦いの道筋を、どれだけ明確にできるか。いわゆる、プレースタイル、プレーモデルだ。
一方、戦術は各場面のプレー判断と言えるだろうか。それゆえ、各選手のセンスが肝心となる。刻々と変化していく状況のなかで、適切な選択ができるか。これは、「個の力」とも置き換えられるかもしれない。
戦略を動かすには、クラブフロント、さらには現場のリーダーである監督の力が大きく物を言う。戦いの道筋を、どれだけ明確にできるか。いわゆる、プレースタイル、プレーモデルだ。
一方、戦術は各場面のプレー判断と言えるだろうか。それゆえ、各選手のセンスが肝心となる。刻々と変化していく状況のなかで、適切な選択ができるか。これは、「個の力」とも置き換えられるかもしれない。
戦略が成熟していなくても、チームが勝利することはしばしばあるが、それは戦術が一気に天秤を傾けるからだろう。
では、戦術的に優れている、とはいかなることなのか?
3月5日(現地時間)に行なわれたチャンピオンズ・リーグのラウンド・オブ16・第2レグ、トッテナムはホームのボルシア・ドルトムントに押されている状況だった。
この劣勢でどうにかチームを支えたのは、ビッグセーブを披露したGKユーゴ・ロリスという個人だった。神懸かったゴールキーピングで、崩された場面でもどうにか耐えている。ロリスは、ひとつの「戦術」だった。
そしてもうひとり、直接的に試合を決めたのが、イングランド代表ストライカーであるハリー・ケインだ。
後半、戦局は悪かった。1点でも失えば、一気にホームチームに流れを持って行かれる気配も漂っていた。トッテナムには、この流れに杭を打つ必要があった。
49分、クリスティアン・エリクソンがボールを持った瞬間、ケインはオフサイドぎりぎりでラインの裏に飛び出したが、このパスはあえなく相手にブロックされた。
その直後、再び味方のムサ・シソコが拾った時、ケインは一瞬、背後に視線を送っている。目の前でラインの駆け引きしていたDFとの位置関係では、ケインはオフサイドだったが、遠い位置で別のDFが下がっているのが見えたのだ。
それで彼は、足下にボールを呼び込み、これを完璧にコントロールして鮮やかにフィニッシュしてみせた。