• トップ
  • ニュース一覧
  • 【松本】“開幕スタメン落ち”の悔しさも糧に――田中隼磨に課せられた使命と並々ならぬ熱量

【松本】“開幕スタメン落ち”の悔しさも糧に――田中隼磨に課せられた使命と並々ならぬ熱量

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年02月28日

「言いたいことがあれば、言い合えばいい」

練習中に柔和な笑みを浮かべる時もあった田中だが、「仲良し軍団にしようとは思っていない」と表情を引き締める。写真:徳原隆元

画像を見る

 時折見せる、その柔らかい表情が意外だった。
 
 自分の知る田中隼磨は、いつだってギラギラした目つきでサッカーをしている。だが、2月某日のトレーニングでは、例えばボール回しの鬼を決めるジャンケンの時、例えばクールダウンの時、若手に対して相好を崩していた。
 
 闘争心の塊のような男の、そんなリラックスした雰囲気も悪くない。山雅のレジェンドの新たな一面を見た気がした。本人に伝えると、「本当ですか(笑)」と笑みを浮かべつつも、「だけど俺はね」とこう続けた。
 
「別に、仲良し軍団にしようとは思っていない。若いやつらに、気を遣って、話しかけやすい雰囲気を作るつもりもないし。何かあれば聞いてくればいいだけの話。それができなければ、厳しい言い方だけど、それまでの選手。伸びないと思う。
 
 仲良し軍団では、チームは強くなれないと俺は思っているから。ピッチの上で、言いたいことがあれば言い合えばいい。聞きたいことがあれば、どんどん聞いてくればいい。それが若いやつらの使命だとも考えている。
 
 俺はそうやって、上の人に食らいついていった。上の人たちだって、誰ひとり、話しかけやすい雰囲気は作ってくれなかったし、俺もそれを求めてはいなかった。昔と今では違うかもしれないけど、俺のスタンスは変わらないよね」
 
 後輩たちは、信頼できるチームメイトであると同時に、ライバルでもある。そんな考えが根底にある。「ポジションは自分で奪うもの。与えられるものじゃない」とキッパリと言う。「俺も、“奪い返さないといけない”から」とも。

 田中が奪い返すべきもの――プロ生活19年目を迎えた今季の開幕戦、アウェーでの磐田との一戦で、田中はベンチスタートだった。昨年も、一昨年も、さらにその前の年も、山雅が初のJ1を戦った2015年も、山雅に移籍してきた14年も、09年から13年の名古屋時代の5年間も……田中は常に開幕スタメンを飾ってきたが、今季は違った。
 
「ここ10何年間、ずっと開幕はスタメンで出ていたのかな。だから、俺もそこには懸ける想いがあった。それがすべてではないって言われるかもしれないけど、(開幕戦でスタメン落ちした)その悔しさは今でも、俺の中では忘れられないものになっている」
 
 磐田戦でベンチに座ったまま戦況を見守っていた田中は、87分に岩上祐三に代わって途中出場を果たす。試合は1-1のドロー決着。勝利は得られなかったが、敵地での貴重な勝点1獲得に貢献した。それでも、背番号3は無念さに唇を噛みしめていた。

【磐田 1-1 松本 PHOTO】松本は岩上が先制ゴールを決め「ゆりかごダンス」を披露も、川又堅碁がゲームを振り出しに戻す!
【関連記事】
【J1採点&寸評】磐田1-1松本|実力伯仲の攻防戦で、ファインゴールの岩上、川又よりも存在感を放ったのは?
スプリント回数は圧巻の45回!松本の“韋駄天”前田大然が開幕戦で見せた驚愕のポテンシャル
「これはワールドクラス」「 意表つきまくり」壁の下を抜いた岩上祐三のFK弾に称賛の声!4年ぶりJ1挑戦の松本が勝点1を確保
松本のJ1昇格パレードに5万人が集結!! 来季続投で8年目の反町監督はチーム編成に言及!
【松本】「大舞台の決勝でずっと負けてきた」前田大然が味わったサッカー人生初の瞬間とその先へ

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ