「金も出すが、口はもっと出す」厄介な存在…
監督は、簡単な職業ではない。
周りから押し寄せる重圧は、生半可なものではないだろう。負けが込めば、ファンに罵倒される。精神的に、きついに違いない。
もっとも、それは指揮官としては、大した話ではないだろう。勝負の責任を取る。それは自らに課した使命のはずだ。
周りから押し寄せる重圧は、生半可なものではないだろう。負けが込めば、ファンに罵倒される。精神的に、きついに違いない。
もっとも、それは指揮官としては、大した話ではないだろう。勝負の責任を取る。それは自らに課した使命のはずだ。
しかし他にも、眠りを妨げるような“雑音”が絶えることがない。
サッカーを知らない素人であるにもかかわらず、メンバー選考に口を出してくる厄介なスポンサーがいる。「金も出すが、口はもっと出す」という浅はかな経営者が、起用法や戦術に対し、好きなように無責任な文句を垂れる。
そうした状況で、スタッフのなかには派閥が生まれ、「内憂外患」という有様……。あるいは、一部の有力選手が離反・結託し、監督の決定に反抗する――。
これでは、精神がおかしくなりそうだ。
そこで欧州では、20年近く前から、監督がコーチングスタッフでひとつの「チーム」を組むようになった。監督をボスにして現場を統率し、勝負に挑む、というかたちが一般的になったのである。それまでは、ヘッドコーチが監督の座を狙い、監督としては“寝首をかかれる”危険を感じながらの仕事だった。
こうして、組織としては健全になったが、それでも監督の重圧は変わらない。
今、世界で一番、監督として骨が折れるのが、レアル・マドリーというクラブだろう。
「イスコがソラーリ監督批判のツイートに『いいね』!」
先日も、定位置を外れた主力選手のイスコが、サンティアゴ・ソラーリ監督に対して不満をため込んでいる、と煽るような報道が出た。なんでもないことが、亀裂の要素となる。衆人環視もいいところだ。
コパ・デル・レイ(国王杯)直前の紅白戦でソラーリ監督がイスコをレギュラー組に入れながら、当日、先発メンバーから外したことも暴露されている。その試合、マドリーは勝利を収めたが、負けていたら進退問題にまで発展したかもしれない。
監督は、“針のむしろ”に座らされているようなものだ。