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【現地発】Bチーム行きを命じられ、強烈な反骨心を見せた18歳。いまや低迷するマドリーの希望の星に!

カテゴリ:ワールド

エル・パイス紙

2019年01月21日

「もっと上達しなければ」とみずからに言い聞かせるように。

ベイルやアセンシオの負傷離脱の穴を埋めるヴィニシウス。悩めるマドリーの希望だ。(C)Getty Images

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 ヨーロッパのサッカーは、南米のそれに比べてプレーリズムが速く、プレッシャーも激しい。選手たちは狭いスペースの中で瞬時の判断が求められる。ましてやヴィニシウス・ジュニオールが入団したレアル・マドリーは、そのなかでもトップクラブ中のトップクラブだ。実際、ヴィニシウスは入団当初、この“ヨーロッパの壁”に直面し、練習でミスを繰り返していた。

 戦術的に未熟で、なおかつ派生したすべての金額を含めると、4000万ユーロ(約52億円)とも6000万ユーロ(約78億円)とも言われる、18歳の選手としてはかなり高額な移籍金で加入したことによる重圧も踏まえると、1年目からトップチームで活躍するのは困難だろうというのが、ジュレン・ロペテギ前監督をはじめとした当時の首脳陣の第一印象だった。

 それがどうだ。半年近くが経過したいま、ヴィニシウスは低迷するチームにあって希望の星として攻撃を牽引している。

 監督在任中、まったく戦力としてあてにしていなかったロペテギは、おそらく気づかなかっただろう。この18歳の青年の中に強烈な反骨心が潜んでいることを。

 クラブ関係者によると、その壁に直面していた当時、もっとも危機感を抱いていたのは他でもないヴィニシウス本人で、「もっと上達しなければ」と、繰り返しみずからに言い聞かせるよう、つぶやいていたという。
 
 若くしてブラジルで頭角を現わしたヴィニシウスは、「憧れの存在」と公言して止まないネイマールを真似て、サイドに流れてボールを受けては、ランブレッタ(ヒールリフト)やエラスティカ(エラシコ。アウトにかけた瞬間にインサイドで切り返すフェイント)といったトリッキーなプレーを繰り出し、独力でドリブル突破を仕掛け、直線的にゴールを目指すという、ハイライト番組でよく扱われるような派手なプレーが特徴の選手だった。

 しかしマドリーでは、周囲と連携しながら試合の局面に応じてドリブルで勝負するかパスを出すかを見極めてプレーしなければならない。ヴィニシウスの優れていたところは、そこですぐさま自らの課題を見つけ、解決に向けて努力に励んだことだった。

 簡単にボールを奪われないチームメイトの姿を参考にしながら、一つひとつのプレーを貪欲に吸収。次第にパスワークに絡みながら、ボールを足元で受けるだけでなく、機を見て裏へ抜け出し、ボールを呼び込むという周囲と上手く連動して動けるアタッカーへと成長を遂げていった。

 その意味で、クラブの渉外部門ディレクターを務め、スポークスマン的な役割も担うエミリオ・ブトラゲーニョの、19節のベティス戦(マドリーが2-1で勝利)直後のコメントは示唆的だった。

「ヴィニシウスがボールに触れば、必ずといっていいほど攻撃の流れがよくなる。フェデリコ・バルベルデにパスを出し、カウンターから決定的なチャンスを作った33分のプレーは、その象徴的なものだ。貴賓席で我々はヴィニシウスが走り出す前に、『バルベルデだ!』と口々に叫んでいた。彼にはしっかり見えていたんだ。随所に才能の片鱗を見せてくれているよ」

 リオデジャネイロ州第2の都市サンゴンサロの、もっとも貧困な地域の一つで生まれ育ったヴィニシウスを知る人間は、一様にその長所として「澄み切った瞳と前向きに努力する心」を挙げる。もちろんまだ判断ミスを犯すこともあるが、その持ち前の向上心を持ってヴィニシウスは長足の進歩を遂げている。

 絶望感に苛まれ、自信を喪失していたのは今や昔。ガレス・ベイルとマルコ・アセンシオが戦線を離脱している間に奪ったポジションを、彼らが復帰したからといって簡単に引き渡すつもりはもちろんない。

 18歳の無限のエネルギーが、悩めるマドリーに一筋の光明を照らしている。


文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/マドリー番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
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