[アジア大会決勝]U-21日本代表 １-２ U-23韓国代表／９月１日／インドネシア

　“特徴なき男”が、恐るべき攻撃力を最大限に削いだ。

　U-21日本代表のDF原輝綺は、球際で粘り、味方のカバーに走り、ゴールへの最後の侵入経路を塞ぎ続けた。
 
　マッチアップする相手は、イングランドのプレミアリーグでプレーするソン・フンミン。アジア競技大会の決勝戦は、名誉と兵役免除のかかる金メダル獲得に向けてオーバーエージも投入して臨んだU-23韓国代表との大一番だった。
 
　相手の強みは、前線３枚の攻撃力。特に左FWソン・フンミンはボールに多く絡んで何度もアタックを仕掛けて来た。３バックの右に入った原は、最も危険な相手と対峙。強く当たって自分が倒れても、相手はよろけるだけで前進を止めなかった。必死に食らいついた。

「全員守備、全員攻撃がチームプランとしてある中で、個のところで、球際や対人を簡単に負けてしまうと、話にならない。組織で守っても、そこでやられたら意味がないと、みんな分かっていたと思う」（原）
 
　序盤から、日本は完全に押し込まれた。25分過ぎまではノーチャンス。両ウイングバックが押し込まれながら５バックで応戦。とにかく守備で耐える時間が続いたが、原は３バック中央の立田悠悟（清水）との連係を試合の中で築き上げて互いをカバーするしかなかった。

　準決勝からの２日間はコンディションのリカバリーを優先したため、ピッチ上での対策は皆無。ミーティングで選手の特徴を伝え聞いただけだった。
 
　それでも、時間の経過とともにスペースを消すポジショニングとカバーリングで狙いどころを作って対応した。時にはサイドに流れて来たファン・ウィジョともマッチアップ。57分に韓国がイ・スンウを投入して前線の並びを変えるまで、ソン・フンミン、ファン・ウィジョといった強力オーバーエージとやり合う形になったが、こらえた。
 
「中に切り込まれてシュートというのが、自分的には一番嫌だった。縦に進ませて、最後の最後で体を投げ出すというプランが自分の中にはあった。味方にもカバーしてもらったし、自分がカバーする場面もあって、これがチームで守るということだと感じた」と振り返る守備には、大きな効果があった。