ブラジルW杯 日本戦の開催都市を巡る|ナタウ(6.19ギリシャ戦)

カテゴリ:国際大会

熊崎敬

2014年05月21日

クリスマスを意味する「ナタウ」は砂丘の街でもある。

スタジアム名の「ドゥーナス」は砂丘の意。丸みを帯びた屋根は、砂丘をイメージしている。 (C) Getty Images

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 日本がグループリーグ第1戦を戦うレシフェから、第2戦の舞台となるナタウを訪れると、「田舎に来たんだなあ」と素直に思う。高層ビル群や山肌を埋め尽くすファベイラ(スラム街)が凝縮されたレシフェに比べると、この街は建物も人も少なく空が広い。ゆったりと時間が流れている。
 
 街の創設日が1599年12月25日であることからポルトガル語で「クリスマス」を意味するナタウは、砂丘の街として知られる。巨大な砂丘の上に街が造られたといっても過言ではなく、スタジアムの名称「ドゥーナス」も砂丘を意味する。丸みを帯びた屋根は、もちろん砂丘をイメージしている。
 
 ナタウ観光のハイライトは、なんといってもバギーに乗っての砂丘ツアー。サンドスキーやラクダツアー、シュノーケリングなどアトラクションは豊富だ。観光客を乗せたオープンカーのバギーが街中を行き交う。
 
 もっともぼくはバギーツアーには参加せず、街歩きに精を出した。ポテンギ川の河口に近いコロニアル様式の建物が軒を連ねる旧市街を歩いていると、レシフェのメトロがそうだったように、「危ないよ」、「気をつけなさい」と何度も声をかけられた。

バギーで砂丘を疾走するツアーが観光のハイライト。 (C) Getty Images

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 旧市街は朽ち果てた家々が多く、失業者たちが通りに屯(たむろ)していた。観光客の姿はほとんどなく、「これは道に迷ったら厄介なことになるかもしれない」と思い、奥深く潜入することは自重した。
 
 街角に椅子を並べて年寄りたちと世間話をしていると、そこに釣竿を手にした小柄な男が現われた。彼は飲み水や飴玉をくれて、旧市街を案内すると言い出した。
 
 時間ならいくらでもあるのでついていくと、男は知り合いのタトゥーショップやバー、草サッカー場にぼくを連れて行ってくれた。草サッカー場では夜、地元のリーグ戦が行なわれていた。
 
 すっかり暗くなったので、草サッカーの途中に帰ろうとすると、男はガイド料を払ってほしいとごね始めた。
 
 根が優しい彼は「払わないと怖い仲間を連れてくるぞ!」なんてことは言えない。「子供や女房に明日の朝めしを食わすことができないんだ。10レアル(500円弱)でいいから……」と懇願するのだ。
 
 そんなんだったら最初から言えよ! と思ったが、仕方ないかと思い直した。それなりに付き合ってくれたし、仲間を連れてこられたら10レアルどころでは済まないだろう。10レアル札を握らせると気弱な彼は、「ワールドカップで来たときには一緒に釣りをしよう。釣った魚を揚げて食ったら美味しいから……」と弁解するように喋り始めた。
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