50歳を迎えた永遠のサッカー少年。「いつか『職業:カズ』って書けるようになりたいね」

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年02月27日

伝えたい、知っておいてほしいキングの言葉がある。

Jリーグ最年長出場記録を「50歳と0日」に更新したカズ。三ッ沢はお祝いムードに包まれた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 普段のホームゲームでは考えられない数の訪問者で、ニッパツ三ッ沢球技場の小さな正面玄関はごった返していた。
【キング・カズPHOTO】最年長出場記録を更新。ド派手なピンクスーツ姿も披露!!
 
 この日50歳となったキング・カズこと、三浦知良。その雄姿を称えんと、親族をはじめ、元僚友、チームOB、スポンサー関係者、そして300人近い報道陣が殺到したのだ。
 
 そんなビジターを柔和な表情で迎え、ゲストルームに招いていたのが、横浜FCの奥寺康彦会長である。1970年代後半から80年代にかけてブンデスリーガで活躍した元祖・パイオニアは、50歳にして現役のカズをどう見ているのか。忙しいなか、話を聞かせてくれた。
 
「ここまでやること自体が凄いよね。長い間かけて積み重ねてきたものが滲み出ているし、メンタルをずっと高く保つことも簡単じゃないと思う。心の底からサッカーが好きなんだよ、カズは。代表を目ざす、ワールドカップに出るのが目標と口にするけど、普段の取り組みを見ていると、あながち冗談じゃないんだと思えるからね」
 
 両雄が初めて会話を交わしたのは、1986年のキリンカップだった。19歳のカズはパルメイラスの、34歳の奥寺氏はヴェルダー・ブレーメンの一員として凱旋し、決勝で対峙したのだ。その試合後、プロ選手としての大先輩に歩み寄ったのがカズだった。“オク”が懐かしそうに当時を振り返る。
 
「あれから30年以上も経つんだね。あのとき、カズが訊いてきた。『戻ってきて日本のサッカーを盛り上げたほうがいいんですかね』と。だから言ったんだ。『もっとそっち(ブラジル)でやったほうがいい。自分のやるべきこと、したいことをしなさい。帰ってくることはないよ』って。たしかそんな会話だったと思う」
 
 私は、いわゆるカズ・フリークではない。長きに渡って身近で取材を続け、その真髄やイズム、心の変遷を語り尽くせる方はたくさんいるし、2月26日の三ッ沢はそうしたベテランの記者・ライター陣が一堂に会していた。
 
 そのうち何人かは新聞社やテレビ局のお偉いさんになっていて、普段はなかなか現場には来れないのだが、どうやら「カズ詣で」だけは免罪符のようで、子どものようにニコニコしながら取材をしている。そう、同じ空間にいるそれ自体が、嬉しくてしょうがないのだ。
 
 サッカーダイジェスト編集部に私が配属されたのは95年。つまりカズの全盛時はまだペーペーだった。すぐにフランス・ワールドカップ予選がはじまり、日本代表は最終予選で悪戦苦闘。本誌論説ページでは『カズはいらない』というエポックメイキングな見出しが躍った。キングと編集部の間に尋常ではない空気が流れたのをよく覚えているし、実際に一定期間は口もきいてもらえなかった。
 
 そんな私でも、数える程度の取材を通して大いに感化された。伝えたい、知っておいてほしいキングの言葉がある。
【関連記事】
【横浜FC】まさにキング・カズ狂騒曲「泣きそうになっちゃいましたよ」
50歳で開幕スタメンのキングカズに“ヤット”も脱帽。「努力しないとあそこまでできない」
ここからもカズの凄さが分かる! キングのデビューイヤーに生まれた現役選手たち
【蹴球日本を考える】大久保不発、レオ・シルバは圧巻の出来。それでも補強を上手く生かせたのは…
【G大阪】新10番・倉田が「やっていても楽しくなかった」と吐露した理由とは?
【G大阪】元ガンバ戦士の証言から読み解く新システムのメリットと改善点

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ